経営の健全性・効率性について
①収益的収支比率は140%を超え、近年高水準を維持している。これは総収益が平成28年度をピークに微減傾向にあるものの、過去に借り入れた企業債の償還終了により、費用についても減少傾向にあることが要因と考えられる。④企業債残高対事業規模比率については、昨年度と同様類似団体平均値や平成30年度全国平均値に比べて大きく下回っている状況である。⑤経費回収率は従来より引き続き150%を超える高い水準にある。下水道使用料は平成28年度をピークに減少に転じたが、過去に借り入れた高利の企業債の償還終了により、汚水事業に係る元利償還金が大きく減少していることから、健全な経営を維持できていると考えられる。⑥汚水処理原価は、経費回収率と同様、汚水事業に係る元利償還金の減により、平成29年度と平成30年度を比べると微減となっている。しかしながら、今後管渠施設の更新需要が発生することが見込まれ、維持管理費が増加していくことが想定されることから、事業の委託による費用節減を図りながら、動向を注視する必要がある。⑧水洗化率については、市内建築物の建替え、改造や改便などに伴い、微増となっている。
老朽化の状況について
汚水管渠については、昭和47年度から整備を始め、特に昭和53年度から昭和60年度に全体整備の80%以上が集中しており、すでに30年以上経過した汚水管渠になっている。一般的には汚水管渠の耐用年数は50年と考えられているが、改築更新の最適化を図るため、整備年次や市の維持管理状況を考慮したストックマネジメント計画に基づき、更新工事を順次実施していく。令和2年度より地方公営企業法の財務規定を適用することに伴い、老朽化の状況が経営指標により把握できるようになることから、今後この指標を踏まえた下水道施設の維持管理を検討する必要がある。
全体総括
全体を通して、経営指標はどれも概ね高い水準を満たしており、健全な経営が確保できていると考えられる。しかしながら、収入の根幹をなす下水道使用料が近年微減ながら減少傾向にあり、今後下水道施設の老朽化に伴う維持管理費の増加が見込まれることから、現在の経営環境を維持していくため、経費の節減や計画的な下水道施設の維持管理など適切な施策を講じていく必要がある。また、令和2年度より地方公営企業法の財務規定を適用することに伴い、今後更なる経営状況の的確な把握が可能となることから、それを踏まえた経営に取り組んでいく。