経営の健全性・効率性について
立川市は、①収益的収支比率は平成26~29(2014~2017)年度の平均95%から今年度99%に改善しましたが100%を少し下回っています。しかし、地方債償還金が減少していく傾向にあり、経費節減に努めていくことによって更に回復が見込まれます。④企業債残高対事業規模比率は、立川市は平成6年度末に下水道普及率100%を達成しているため、市債の企業債残高は償還が進んだことにより平均値の半分以下でかつ年々減少傾向にあり、良好な状況にあります。⑤経費回収率は105~110%と安定しており、⑥汚水処理原価は平成28年度に平均値を上回りましたが平成29年度から再度下回り、健全な経営状況であると考えられます。⑦施設利用率は平均を下回っていますが、現在稼働中の「錦町下水処理場」は令和5年度に「立川市単独処理区」が「東京都流域下水道北多摩二号処理区」に編入される予定であり、施設の更新が無く老朽化していることから、利用率に余裕があることが必要であると考えます。⑧水洗化率はほぼ100%に到達しています。以上の指標の分析結果から、立川市の経営の健全性・効率性ともに問題ないと考えます。
老朽化の状況について
立川市の下水道事業は、昭和30年度より単独公共下水道として単独処理区の事業に着手し、JR立川駅周辺を中心に整備を進め、昭和42年には錦町下水処理場の供用を開始しました。その後、人口増加による市街化に併せて、昭和52年から昭和55年にかけて多摩川上流処理区、北多摩一号処理区及び北多摩二号処理区の3つの処理区を、東京都の水再生センターを終末処理場とする流域関連公共下水道として事業に着手し、現在、4つの処理区となっています。管渠については、標準耐用年数(50年)を経過した下水道管が増加しつつあり、点検や調査により劣化状況を的確に把握し、その結果に基づき、ライフサイクルコストの最小化や事業費の平準化を考慮した計画的な老朽化対策である長寿命化事業を行っていきます。
全体総括
立川市の下水道事業は、現状では経営の健全性・効率性ともに問題ないと考えられます。一方、施設の老朽化対策は今後の課題となっています。今後は適正な施設管理と安定した下水道経営を図るため、固定資産台帳の整備を行い、令和2年度に公営企業会計への移行を予定しています。