経営の健全性・効率性について
・経営成績、財政状態等を示す各指標は概ね良好な水準となっています。・「経常収支比率」は、料金収入や一般会計からの繰入金等の収益で、維持管理費や企業債利息等の費用をどの程度賄えているかを表す指標ですが、100%を超えて推移しており、健全な状況です。・「流動比率」は、企業債が負債に計上されていることから100%を下回っていますが、企業債の償還財源が料金収入等で確保されるため、支払能力に支障はありません。・「企業債残高対事業規模比率」は、料金収入に対する企業債残高の割合であり、将来的な財政負担を見据えた財政運営により、可能な限り企業債残高の縮減を図ってきたことから、減少傾向にあります。・「経費回収率」は、100%以上で推移しており、汚水処理に係る経費を全て下水道料金で賄えています。・「汚水処理原価」は、有収水量(料金の対象となる水量)1m3あたりの汚水処理に要した費用です。近年は、補修費や動力費などの維持管理費が増加傾向であることから、汚水処理原価も上昇傾向にあります。・「施設利用率」は施設・設備の処理能力に対する、一日平均の汚水処理水量の割合であり、下水道施設は汚水量の日変動や季節変動を踏まえ、汚水の最大流入量に対応できるよう作られているため、6割程度で推移しています。この率は、昼夜間の人口比率や地理的条件、分流・合流の違い等により影響を受けます。
老朽化の状況について
・東京の下水道は、高度経済成長期以降に集中的に整備したことから、施設の老朽化が急速に進んでおり、法定耐用年数を基準とした場合の老朽化の状況を示す「有形固定資産減価償却率」や「管渠老朽化率」は類似団体平均と比べ高い状況にあります。アセットマネジメント手法の活用により、施設の状態を評価した適切な維持管理と計画的な補修を行い、法定耐用年数(50年)より延命化することが可能となるため、今後も引き続き、同手法を活用し下水道管や設備の再構築を効率的に進めていきます。・「管渠改善率」については、早い段階から本格的な再構築に着手し、道路を掘らずに既設下水道管をリニューアルすることができる更生工法を活用することで、整備のペースアップを図ってきたことから、類似団体平均を大きく上回る水準となっています。
全体総括
・下水道料金収入が長期的に逓減傾向にある中、維持管理費は増加するなど、厳しい経営環境にはありますが、必要な施設整備を着実に推進し、将来にわたって下水道サービスを安定的に提供していくため、引き続き財政基盤の強化に努めるとともに、中長期的な視点に立って財政運営を行っていきます。