経営の健全性・効率性について
・「経常収支比率」は、料金収入や一般会計繰入金等の収益で、維持管理費や支払利息等の費用をどの程度賄えているかを表す指標ですが、100%を超えて推移しており、健全な状況です。・「流動比率」は、平成26年度から新会計基準が適用され、企業債が資本から負債に変更になったことから100%を下回っていますが、企業債の償還財源が料金収入等で確保されており、支払能力に支障はありません。・「企業債残高対事業規模比率」は、料金収入に対する企業債残高の割合であり、将来的な財政負担を見据えた財政運営により、可能な限り企業債残高の縮減を図ってきたことから、減少傾向にあります。・「経費回収率」は、下水道料金で回収すべき経費(汚水処理に係る経費)を、どの程度料金で賄えているかを表す指標ですが、100%以上で推移しており健全な状況です。・「汚水処理原価」は、有収水量(料金の対象となる水量)1m3あたりの汚水処理に要した費用であり、近年の金利の低下などにより企業債利息が減少していることから、低減傾向にあります。・「施設利用率」は施設・設備の処理能力に対する、一日平均の汚水処理水量の割合であり、下水道施設は汚水の最大流入量に対応できるよう作られているため、6割程度で推移しています。この率は、施設の整備年代や地理的条件、分流・合流の違い等により異なります。
老朽化の状況について
・東京の下水道は、高度経済成長期に集中的に整備を進めたことから、下水道管をはじめとする下水道施設の老朽化が急速に進展しています。・「有形固定資産減価償却率」の平成26年度数値が大幅に増加していますが、これは新会計基準適用により、減価償却対象資産の算定方法が変更されたためです。・「管渠改善率」は、類似団体と比較して高い水準で改善していますが、これは整備年代の古い管渠から順次、再構築を実施するとともに、整備ペースをスピードアップしているためです。
全体総括
・都の下水道事業は、下水道料金収入が長期的に逓減傾向にある中、維持管理費は増加するなど、厳しい経営環境にはありますが、必要な施設整備を着実に推進し、将来にわたって下水道サービスを安定的に提供していくため、引き続き財政基盤の強化に努めるとともに、中長期的な視点に立って財政運営を行っていきます。