経営の健全性・効率性について
累積欠損金は発生しておらず、経常収支比率は100%を超えているが、料金回収率が100%を下回り、経常的に必要な経費を給水収益で賄うことができていない。これは、市民負担の公平性の観点から、市域※1の大部分(市内給水人口の約95%)に給水し経営効率の異なる千葉県水道局と同一料金としているためであり、本市では一般会計繰入金により収支差額を補てんしている。給水原価が平均を著しく上回っているのは、有収水量密度が全国平均※2を下回る地理的条件等により、投下資本が給水収益に結びつかないため相対的に高くなっている支払利息や減価償却費に加え、千葉県水道局への受水費が大きな割合を占めているからである。流動比率は年々低下し100%を下回っているが、これは会計制度の見直しや、投資を企業債に依存したことにより元金償還金が増加したことが主な要因である。施設利用率は平均を下回っているが、管路の老朽化が進んでいないことに加え、漏水箇所の早期発見に努めたため、有収率は平均を上回っている。※1本表において、H28年1月1日の本市人口964,424人に対する普及率は4.86%となっているが、千葉市水道事業の給水区域内人口は56,880人であることから、実際の普及率は82.4%となる。※2H26年度平均1.34千㎥/ha千葉市0.80千㎥/ha
老朽化の状況について
H27年度より法定耐用年数を超えた管路が発生したが、管路経年化率は類似団体等と比較し依然として低い水準である。しかし、有形固定資産減価償却率は年々増加傾向にあり、特に機場設備の減価償却率が高いため、修繕等の維持管理に留意する必要がある。(H26年度は会計制度の見直し(みなし償却制度廃止)により大幅に増加)
全体総括
経営指標分析の結果、管路の老朽化に関しては差し迫った状況にないものの、経営の健全性・効率性が確保されているとは言えない。本市においても将来的には人口の減少等による給水収益の減少が想定され、今まで以上に厳しい経営環境の下で事業運営を行わなければならないことから、H28年度に策定した水道事業中期経営計画に掲げた施策の推進に取り組み、さらなる経営の健全性・効率性の向上に努めなければならない。また、今後は老朽化した施設の更新や自然災害に対する取り組みの強化などに多くの資金が必要となることから、施設の規模、重要度、老朽度、耐震性、経営への影響等を考慮した、長期的な施設整備計画の策定により、更新費用の低減や平準化を図っていく。