経営の健全性・効率性について
①経常収支比率は114.22%と黒字で、類似団体の平均値を上回っている。また、②累積欠損金比率については、0%で前年に引き続き発生していない状況にある。さらに、④企業債残高対事業規模比率は、443.71%と前年に引き続き減少傾向にある。これらのことから、当市の経営状況は健全であるといえる。③流動比率は78.75%で前年に比べて改善傾向にあり類似団体の平均値を上回っているものの、100%を大幅に下回っている。⑤経費回収率については、97.20%で改善傾向にあり、類似団体の平均値に近づきつつある。⑥汚水処理原価は72.58%で類似団体の平均値を大幅に下回る額となっている。このため、適正な使用料収入の確保及び汚水処理費の削減についてさらに留意が必要な状況である。⑧水洗化率については、平成30年度決算の時点で98.86%とすでに高水準であったが、令和元年度決算では98.92%となり、前年に比べ微増となった。当市は、今後も土地区画整理事業の進展に伴い、住宅等の増加が見込まれるため、下水道への接続及び正しい使い方等について啓発を進めていく必要があると考えている。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率は上昇傾向にあり、17.50%と類似団体の平均値を上回った。また、②管渠老朽化率は0%を維持していることから、老朽化の度合いは類似団体等よりも低いことが分かる。③の管渠改善率は0%と類似団体の平均値を下回っている。老朽化の対策としては、布設後の経過年数、施設の重要度及び管路を布設している道路の交通量等を勘案して、早期かつ計画的に、修繕、改築及び更新等を実施していかなくてはならないが、当市では管路内部のカメラ調査を行い、その調査結果に基づき適切に補修を進めているため、当面は引き続きこの取組を継続していく。
全体総括
各指標については類似団体平均値及び全国平均値を下回るものもあるが、当市は現状において健全な経営状況を維持しているといえる。適正な使用料収入の確保については、下水道使用料の改定について検討する必要があるが、このことについては、埼玉県の流域下水道事業維持管理負担金の動向及び今後の社会経済情勢等を勘案して検討することが和光市下水道事業運営審議会において示されていることから、早急な下水道使用料の改定による収支状況等の改善は想定しないものとしている。そのため、令和元年度に策定した下水道事業経営戦略の投資・財政計画に基づき、今後予定している総合地震対策業務への取組及びストックマネジメント計画の策定等に沿った取組を計画的かつ効率的に推進し、経営基盤の強化を図っていく方針である。