経営の健全性・効率性について
平成28年度の①経常収支比率は黒字で110.26%、また、②累積欠損金比率は0%となっている。一方、③流動比率は47.32%、⑤経費回収率は85.00%で、適正な使用料収入の確保及び汚水処理費の削減等について留意すべき結果となっている。④企業債残高対事業規模比率は585.75%で前年度と比較し下がったが、これは、前年度に比べて使用料収入が増加し、企業債残高が減少したことが要因のひとつと考えられる。⑥汚水処理原価は前年度に比べ3.32円増加の82.37円となった。これは、下水道管渠費(汚水)の費用が増加したことが要因のひとつと考えられる。⑧水洗化率は98.80%で、前年度に比べ増加傾向にあり、下水道接続の啓発活動等の成果が出ているものと考えられる。
老朽化の状況について
資産の老朽化度合を示す①有形固定資産減価償却率は昨年度より3.32ポイント増加したが、依然として類似団体の平均値及び平成28年度全国平均値に比べ低い数値となっている。また、管渠の老朽化具合を示す②管渠老朽化率は0%であり、類似団体平均値、平成28年度全国平均値と比較し非常に低い数値である。管渠の総延長のうち改良及び修繕等を行った管渠の延長を示す③管渠改善率は0.24%と昨年度に比べ0.17ポイント増加しているが、これは管渠の更新・改良等を行ったためである。老朽化の対策としては、布設後の経過年数、施設の重要度及び管路を布設している道路の交通量等を勘案して、早期かつ計画的に修繕、改築及び更新等を実施していく必要があることがわかる。
全体総括
類似団体平均値及び全国平均値に比べて劣る数値となったものは、和光市が管渠の修繕等を重視した取組みを進めていることにより、その分の費用が前年度に比べて増加傾向にあったことが影響しているものと考えられる。数値の改善については、適正な使用料収入の確保等の対策が考えられるが、下水道使用料の改定については、埼玉県の流域下水道事業維持管理負担金の動向及び今後の社会経済情勢等を勘案して検討することが和光市下水道事業運営審議会において示されていることから、下水道使用料の改定による収支状況等の改善は現段階においては想定しないものとしている。管渠等の老朽化対策は計画的に実施する必要があるため、長寿命化等の取組みを強化しながら、経費削減についてもより強く意識した事業運営を行わなくてはならない状況にあるといえる。