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単年度の指数については、平成25年度以降上昇傾向が続いているものの、類似団体平均と比較すると平成29年度も引き続き下回った状態となっている。平成29年度は、町の基幹産業であるホタテ養殖業を中心に好況となった影響で個人町民税等が伸びており、基準財政収入額が平成28年度比約+58百万となったことから財政力指数も0.23と微増になっている。しかしながら、依然として類似団体平均に比べ財政基盤が脆弱であると言わざるを得ないことから、今後も安定的な自主財源の確保に努めつつ、かつ、ふるさと納税制度の活用や、使用料・手数料等の適時適切な見直し等も視野にいれた積極的な歳入確保に注力しなければならない。
平成29年度は経常収支比率が79.4%となり、平成28年度比3.7%の悪化となっている。主な要因としては、歳出面で経常的な除排雪経費の増(約+41百万円)や、下水道事業及び病院事業繰出基準の見直しによる繰出金の増(前者が約+60百万円、後者が約+121百万円)があり、一方歳入は税収の増があったものの、見合いで普通交付税が減となったことから、大きな伸びにつながらず、相対的に比率が悪化する結果となった。ただし、類似団体比較においては、引き続き良好な状態を保っていることから、今後も行財政改革への取組を通じて義務的経費の削減に努め、現在の水準を維持するよう努めていく。
人件費は、平成29年度決算額ベースで約862百万円となり、平成28年度比約+7百万円の微増となっているが、これは人勧等(処遇改善)による影響であり、それを加味しなければ平成28年度からのほぼ横ばいとなっている。物件費は、業務の専門・複雑化に伴うアウトソーシングや嘱託・派遣・臨時職員等が増えているものの、こちらもほぼ平成28年度と横ばい(約+4百万円)となっている。人口減少が進んでいることもあり、結果として人口1人当たりの決算額は、平成28年度に比べ増加することとなったが、引き続き類似団体平均と比べやや低い水準を維持している。しかしながら、団塊世代の大量退職によって中間管理職の昇任が以前より早くなっており職員一人当たりの平均給与が高めの水準を示していることなどがコストを定常的に引き上げる要因となりうるため、適正な人員配置に努めながら、行政コストの圧縮を図らなければならない。
ラスパイレス指数は、平成29年度において99.0となっており、平成28年度並みで推移しているものの、高止まりが懸念される。独自の給与カットはしていないものの、給与構造の見直しについては完全実施済みであり、15年度からは管理職手当の定額化により人件費を抑制している。特別昇給の是正も17年度に実施し、特殊勤務手当や地域手当についても該当していないため支給していない。また27年度からは給与制度の総合的見直しを実施しており、人件費抑制のために様々な取組を行っている。一方で高卒採用者の昇格が他団体に比して早めになっていることや、4級(課長補佐級)職員の占める割合が全体の約3割を占めること等がラスパイレス指数を高止まりさせている要因となっており、全体の職層のバランスを適正に調整しなければならない。
平成17~20年度までの間、定年退職者分について不補充としていた経緯もあり、集中改革プラン(平成17~21年度)の計画値を上回るペースで職員数が減少してきたが、平成21年度以降は毎年度5名程度の新規採用を行っており、また近年は定年退職者の再任用も開始していることから、職員数は増加傾向となっている。27年度末に策定した定員管理計画(28~32年度の5ヶ年)においても、最終年度における目標値を27年度職員数から+6名とした212名(+2.9%)で掲げている。類似団体平均に比べ職員数が少ない状況にあるため、人員の増調整はやむを得ないものと考えるが、一方で、全国平均や青森県平均に比べると高水準にあることから、行政サービスの質を維持しながらも、簡素で効率的な組織機構の構築に努め、より適正な人員配置や指定管理者制度等の導入によって引き続き適切な定員管理に努めなければならない。
実質公債費比率は、平成29年度において10.3%となり、平成28年度比0.4%の悪化となった。これは、過去に借入した起債の償還終了に伴い、事業費補正により基準財政需要額に算入された公債費が減(約-30百万円)となったことと、繰出基準の見直しにより公営企業に要する経費の財源とする地方債の償還に充てたと認められる繰入金が増(約+80百万円)となったことが主な要因となっている。類似団体比較においても、平成29年度は平均値を上回ることになったが、今後も過疎対策事業債発行額の増や、老朽化した公共施設等の更新にかかる起債発行が見込まれており、当面の間、比率の悪化が懸念されるところだが、中長期的な財政見通しに基づき、公債費の動向を注視する必要がある。
将来負担比率は、平成29年度において73.6%となった。平成28年度比3.5%の悪化となっており、当該比率を公表して以来、はじめて比率が悪化する結果となった。これは、公共施設等整備基金といった充当可能基金が増(約+130百万円)となった一方で、地方債現在高の増(約+140百万円)や公営企業債等に対する一般会計繰出見込額の増(約+120百万円)の影響が大きかったことに起因している。類似団体比較においても、引き続き高い水準で推移していることから、今後も事業の必要性、優先順位を考慮しながら事業を取捨選択し、公債費残高の減と基金積立額の増の両面から将来負担を軽減できるよう努める。
類似団体比較では近3か年とも、人口1,000人当たりの職員数及び人件費の経常収支比率ともに下回っている状態が続いている。しかしながら、経常的な人件費は、平成29年度決算ベース約856百万円で、平成28年度比約8百万円の増となっており、懸念される点の1つである。今後も人件費は大きな割合を占める経費であることから、適正な人員配置や再任用制度の運用、指定管理者制度の活用等を検討し、不断の努力により、行政コストの圧縮を図らなければならない。
物件費に係る経常収支比率は、経常的な物件費が平成28年度より約30百万円増加しているものの、経常一般財源総額も伸びていることから、比率としては平成28年度より0.4%低下(良化)する結果となっている。物件費に係る経常収支比率は類似団体の中で特に良好な状態ではあるが、派遣・臨時職員等に係る人件費の増や、専門的かつ細分化した業務に対応するために増加する外部委託経費など、今後も物件費を増大させる要因が数多くあるため、引き続き経費削減に努めていかなければならない。
扶助費については、近年、類似団体平均とほぼ同水準の比率で推移している。経常的な経費は平成28年度に比べ約44百万円増加し、その大半は児童福祉費(保育所等)の制度改正の影響によるところであるが、平成29年度から人口減少・少子化対策として町独自で保育料等の完全無償化を始めたことから、町負担についても増加している状況にある。今後も人口減少対策は継続的に実施する予定としており、扶助費に対する町負担の増は避けられない見通しであるが、必要経費と住民サービスとの費用対効果を見極めたうえで事業を実施していきたい。
維持補修費に係る経常的な経費の決算額は除排雪経費の増などにより、平成28年度に比べ約48百万円増加しており、経常収支比率も平成28年度より1.1%上昇している。また、繰出金についても、主に介護保険事業・公共下水道事業等への繰出金が増加し経常経費ベースで約68百万円の増となっており、比率を平成28年度比1.4%引き上げる要因となっている。公営企業会計にあっては独立採算の原則に基づいた収入確保や適切な会計処理を求めながら繰出金を精査していく必要がある。
経常的な補助費等総額で平成28年度より約126百万円増加したことから、平成29年度の補助費等に係る経常収支比率は平成28年度より1.1%上昇し、類似団体平均より悪化している。主な要因として、病院事業への補助が繰出基準の見直しにより、平成28年度比約120百万円となっていることが大きい。引き続き公営企業会計への補助については、独立採算を原則としつつ、公営企業と一般会計双方の財政状況を踏まえながら繰出基準を明確にし、適正な繰出しにより経費の圧縮に努めていく必要がある。
公債費に係る経常収支比率は類似団体平均に比べ低い状態を維持している。普通会計においては臨時財政対策債の累積発行額が増えているものの、過去に普通建設事業に係る起債事業を抑制してきたこともあり、プライマリーバランスの黒字化を続けてきた結果である。しかしながら、平成22年度から新たに過疎地域指定を受けたことに伴い平成23年度からは過疎対策事業債を活用し始めたことや、下水道事業において年次整備計画を進行中であること等、町全体としての地方債の発行額が増加しつつあり、平成29年度の公債費は平成28年度を上回っている。今後も徐々に増えていく見通しであることから、中長期的なスパンで公債費を注視していく必要がある。
平成29年度決算においては、経費別の経常収支比率が扶助費や補助費等で類似団体平均を超えているものの、人件費や物件費では下回る状況にあり、特に物件費の比率が類似団体平均に比べ良好なことが大きく影響し、全体(公債費除き)の比率としても類似団体平均より低い水準(良好な状態)で推移している。今後も経常経費のより一層の削減をめざし良好な状態を維持できるよう努めたい。
(増減理由)主な増要因は、特定目的基金である公共施設等整備基金を将来の財政需要に備えて約1.6億円積み増ししたこと、下水道事業債償還基金を県補助金を原資に約4百万円積み増ししたことであり、一方、主な減要因は、下水道事業債償還基金のうち、前年度積み立て分を取り崩し償還財源としたことである。(今後の方針)財政調整基金は、地方交付税額の減や災害発生時の対応、社会保障関係経費の増大に備え、現状の規模を維持していく見通しである。減債基金は、将来の公債費負担を勘案し、短期的には積み増しを行い、以降は公債費負担の平準化のため、財政状況を見ながら徐々に取り崩しを行う見通しである。その他特定目的基金については、公共施設等整備基金以外の基金は現状を維持する見通しで、公共施設等整備基金は将来の財政需要に備え、引き続き経費削減等によりねん出した財源を積み立てしながら、公共施設等の整備にかかる需要が増大した際に取り崩しを行う考えである。
(増減理由)地方交付税額の減や災害発生時の対応、社会保障関係経費の増大などに備え、積立をおこなっており、近年は基金運用益の発生に伴う微増のみで推移している。(今後の方針)当面は、将来需要が見込まれる減債基金や公共施設等整備基金(特定目的基金)を重点的に積み増しし、財政調整基金は基金運用益のみの積立を予定していることから、災害等の発生がない限り、現状の基金規模を維持する見通しである。
(増減理由)老朽化した消防庁舎や本庁舎の建設(予定)に伴い、地方債残高の増加が懸念されることから、将来の公債費負担に備えて積立をおこなっており、平成29年度は、基金運用益の発生に伴い微増となっている。(今後の方針)短期的には、上記の消防庁舎や本庁舎建設に伴う公債費の増に備え、歳計剰余金処分に伴う積み増しを行いたい考えである。その後、中長期的には公債費の伸びを見合いに、財政状況を勘案して基金の取り崩しを行う見通しである。
(基金の使途)・公共施設等整備基金:町が行う公共施設、その他の施設の整備に要する経費の財源に充てる。・地域づくり特別事業基金:地域の実情をふまえ、個性豊かな魅力ある地域づくりを行い、町の活性化を推進する。・地域福祉基金:高齢者の居宅における福祉の増進に関する事業等を行う団体に対する補助等を行い、高齢者福祉の増進を図る。・下水道事業債償還基金:公共用水域の水質保全と町民の生活環境の向上を図るために生活排水等の処理施設を整備する事業に関する下水道事業債の元利償還に要する経費の財源に充てる。(増減理由)・公共施設等整備基金:老朽化が進む消防庁舎や本庁舎の建設に向け、また公共施設等総合管理計画策定に伴う将来の財政需要に備え、経費節減等によりねん出した約1億円や歳計剰余金処分に伴う6千万円、及び基金運用益を積み立てたことから増となっている。・下水道事業債償還基金:県からの補助金を原資に約4百万円を積み立てる一方で、前年度積み立て分を取り崩して下水道事業債の償還財源に充てていることから、ほぼ横ばいで推移している。(今後の方針)・公共施設等整備基金:前述の増減理由に記載のあるとおり、将来の財政需要に備え、引き続き経費削減等によりねん出した財源を積み立てしながら、公共施設等の整備にかかる需要が増大した際に取り崩しを行う見通しである。短期的には、消防庁舎の整備に伴う起債対象外事業費に対して充当を予定している。・その他の特定目的基金:前述の増減理由に記載のあるとおり、今後も推移していく見通しであることから、基金残高はほぼ横ばいになると見込んでいる。
当町では平成29年度に公共施設等総合管理計画を策定し、公共施設等の長寿命化に加え、公共建築物の延べ床面積を3割削減する目標を掲げた。有形固定資産減価償却率は類似団体より少し高い水準にあるが、今後は個別施設計画を策定し、公共施設等の効率的な管理を推進していく。
将来負担比率は類似団体に比べ基金の現在高が少ないことが影響し、高い水準で推移しており、また有形固定資産減価償却率も全体的に施設の老朽化が進み、類似団体よりもやや低い水準となっている。今後は、公共施設等総合管理計画に基づき、老朽化対策に取り組んでいき、施設の更新や除却が進み有形固定資産減価償却率は減少傾向となるが、起債額が増加することや基金の減少が予想されるため将来負担比率はより高い水準になることが見込まれる。
実質公債費比率は普通会計等の起債発行抑制の時期(平成17~23年度)を経たことで公債費が減少し類似団体と比較して同程度の水準で推移している。一方で、将来負担比率は類似団体に比べ基金の現在高が少ないことが影響し、高い水準で推移している。後者の比率については、老朽化した公共施設等の更新に向け特定目的基金の積み増しを継続的に実施していることから今後も徐々に低下していく見通しであるが、平成30年度以降に消防庁舎や本庁舎の更新を検討しており、これらが本格化すると基金の取崩しと地方債発行額の増加により両比率の悪化が見込まれるため、これまで以上に中長期的な財政見通しに注視する必要がある。
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