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北海道:工業用水道事業の経営状況(2022年度)

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経営比較分析表(2022年度)

経常収支比率

累積欠損金比率

流動比率

企業債残高対給水収益比率

料金回収率

給水原価

施設利用率

契約率

経営の健全性・効率性について

現在運営している室蘭・苫小牧・石狩の3工水のうち、苫小牧工水では苫東工水の建設事業を中止、石狩工水では施設規模を縮小するなど、過大となった資産を平成18年度末に整理したことにより、多額の未処理欠損金が生じた。その後の2回の経営健全計画(平成18~26年度、平成27~令和元年度)の実施により、平成23年度には単年度黒字に転換したが、石狩工水単体では規模縮小後も契約率が低く、料金収入のみでは収支均衡しない状況にある。①経常収支比率:単年度黒字の継続により100%以上を維持しているが、契約率が50%台の石狩工水の影響により、類似団体平均値より低くなっている。②累積欠損比率:令和元年度末に行った70億円の減資により生じた資本剰余金を累積欠損金に補てんして大幅に解消し、令和4年度は黒字決算であったため前年度と同様に純利益を補填に充て累積欠損金は解消された。③流動比率:流動負債の6割を占める企業債の低減が少なく類似団体平均値より低い状況が続いている。④企業債残高対給水収益比率:施設等の老朽更新・耐震化のための大規模改修を実施しているが、施設規模等の適正化や経営効率化の取組による経費削減などにより、企業債借入を減らして残高の減少に努めている。石狩工水では契約率が52%まで増加するなど給水収益の改善が図られているものの、依然として企業債残高対給水収益比率が類似団体平均値より高い状況が続いている。以下指標については、令和2年度に室蘭工水・苫小牧工水で契約水量の減(合計約15,000㎥/日)があったことにより、令和元年度までと比較して大きく変動している。⑤料金回収率:室蘭工水は9%程度・苫小牧工水は5%程度と前年度よりそれぞれ低下したものの100%以上を維持しており堅調だが、石狩工水は供給単価55円と高水準で、かつ減価償却費などの固定費が高いことから料金回収率が約40%となっており、事業全体では類似団体平均値より低くなっている。⑥給水原価:人件費・委託料・動力費等の増により3工水全体の経常費用が増加し、また、特に石狩工水の給水原価は142円と、前年より107円減少したものの依然として高水準であるため、類似団体平均値より高くなっている。⑦施設利用率:契約率が70%の苫小牧工水は実給水量が低いため施設利用率が40%、契約率52%の石狩工水は28%とさらに低く、類似団体平均値より低い状況となっている。契約水量を増やす需要開拓と施設のダウンサイジングやスペックダウンの検討を合わせて行う必要がある。⑧契約率:苫小牧工水及び石狩工水については、新規契約及び増量があった影響からそれぞれ過去最高の73%(対前年比3%増)、52%(対前年比20%増)となり大きく改善した。

有形固定資産減価償却率

管路経年化率

管路更新率

老朽化の状況について

①有形固定資産減価償却率:高度経済成長期に整備され50年前後が経過した室蘭と苫小牧工水は、長寿命化を図りながら計画的に管路や設備の更新を行っている。その結果、現在の減価償却率は3工水とも50%台であり、類似団体平均値より低くなっている。②管路経年化率:室蘭工水は令和元年度までに一部区間の更新を終え、苫小牧工水は平成30年度より更新に着手しており、更新区域外の経年化が進行して類似団体平均値より低い状況にある。今後も低い状況が続く見込みである。③管路更新率:上記のとおり順次、経営状況を勘案しながら、計画的に管路更新を進めており、類似団体平均値を上回るペースとなっている。

全体総括

経営の健全性・効率性については、平成23年度から令和4年度まで12期連続の黒字や減資による累積欠損金の補てんで累積欠損金比率が大幅に改善したが、令和2年度からの契約水量の減少により料金回収率等の指標における類似団体平均値との乖離が生じている。特に石狩工水においては、契約率が52%(対前年比20%増)と大きく改善しているものの3工水の中では契約率は低く、経営健全化計画実施後も給水原価と料金水準のバランスがとれない状況が続いており、このことが経営に大きな影響を与えている。今後は、再生可能エネルギー関連企業などへの新規給水や増量が見込まれ契約水量の大幅な上昇が予定されているものの、更なる給水契約の獲得や経費節減による経営基盤の強化、既存の施設・設備更新にあわせて、今後の工水需要を踏まえた施設規模等の合理的な投資の検討が不可欠となっている。一方、老朽化の状況については、3つの指標全てで類似団体平均値より良好な状況にある。管路については、室蘭・苫小牧工水では経年化が進んでいるため、経営状況を勘案しながら計画的に更新を進めている一方、石狩工水は開業から約20年であり、ほとんど経年化していない。その他の設備については、可能な限り長寿命化を図りながら適切な改修を行い、投資の効率化や平準化に取り組むとともに健全性を維持している。

出典: 経営比較分析表,

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