経営の健全性・効率性について
①収益的収支比率は、単年度の収支が黒字である事を示す100%以上である事が求められています。当該指標は、料金収入や一般会計からの繰入金等の総収入で、総費用(人件費+動力費+薬品費+維持管理費等)に地方債償還金(借金)を加えた費用をどの程度補っているかを示しています。本市は白保・宮良処理区を平成18年10月、大浜・磯辺処理区を平成25年6月に供用開始しています。単年度収支を見るとV字改善されています。農業集落排水事業は補助率が高く、返済が容易に進んでいる事が伺えますが、大浜・磯辺処理区の返済が残っており、今後悪化する事が推測されます。しかし一時的なものと思われます。今後は、更なる水洗化の向上、使用料の定期的な改定が将来の改築更新に備え必要があります。④企業債残高対事業規模比率は、使用料収入に対する地方債残高(借金)の割合の事で、地方債残高の規模を表しています。こちらについては債務残高は0円となっています。但しこれは一般会計で全額負担としたためで、今後は使用料収入で負担する必要があります。⑤経費回収率は、使用料で回収すべき経費(維持管理費等)を、どの程度使用料で補っているかを表して、100%以上である事が求められています。本市は、各年度で平均値より著しく低い事がわかります。これは、汚水処理に係る費用が使用料以外の収入(一般会計からの繰入=税金)により補われている事がわかります。要因としては、供用開始から13年及び6年が経過して、水洗化率が37%程度と依然として低水準にあります。使用料収入が低水準にある事が上げられます。今後更なる回収率の向上を図るには、適正な使用料収入の確保、汚水処理費(維持管理費+地方債等利息+地方債償還金)の削減が必要となります。⑥汚水処理原価は、有収水量(使用料となる汚水量)1㎥当たりの汚水の処理に要した費用で、資本費(地方債元利償還額+地方債取扱諸費等)と、維持管理費を含めた汚水処理に係る指標の事で、本市は汚水処理費が年々高くなってる傾向にあります。要因として、使用料収入が低水準にある事が上げられます。⑦施設利用率は施設や設備が遊休施設となっていないか、施設の利用状況や適正規模を判断する指標で、本市は平均値より著しく低い所にある。今後更に水洗化を進め、利用効率を高める事で有収水量の増加を図り、使用料収入を確保して行く必要があります。⑧水洗化率は、現在処理区域内人口のうち、実際に水洗便所を設置し水洗化にて汚水を処理している人口の割合の事で、一般的に100%となっている事が望ましいとされています。本市は平均値と比較すると著しく低いが微増の傾向にあるので、更なる水洗化向上に向けて受益者への啓発の必要があります。
老朽化の状況について
③管渠改善率は、当該年度に更新した管渠延長の割合を表しています。当該指標は、管渠の更新ペースや状況を把握する事が出来ます。本市の農業集落排水施設は、供用開始から13年及び6年経過しております。管渠の法定耐用年数は50年ですので、現時点で改築更新の必要はないものと思われます。
全体総括
本市の農業集落排水事業における、経営の健全性・効率性については、施設の効率性も悪く、水洗化率も低い。経費回収率についても同様に低い。一連の指標を比較検討すると、使用料水準が低く抑えられている事が原因と思慮されますので、更なる水洗化の向上、使用料の定期的な改訂が必要です。