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本市の財政力指数は0.53であり、県平均0.40、全国平均0.50は上回っているものの、類似団体平均0.78を大きく下回っている。これは、人口減少や高齢化等により、人口1人当たりの地方税収入が少ないこと、基準財政収入額が小さいことに加え、合併により市域が広まったことなどで基準財政需要額が大きくなっていることによるものである。合併算定替は令和2年度で終了となり、恒常的な財源不足に陥ることが見込まれるため、「第7次佐世保市行財政改革推進計画」に基づき、定員管理の適正化、選択と受益者負担を前提とした行政サービスの提供、税等徴収率の向上など、行政運営の効率化、財政基盤の強化を進める必要がある。
本市の経常収支比率は90.3%であり、昨年度と比較すると2.1%減少しているが、長崎県、全国平均と比較すると上回っている状況。高比率化する要因の1つは、財政力指数でも示したとおり、自主財源の乏しさにあり、それゆえに経常一般財源の多くを、普通交付税に頼っているところにある。今後は、人口減少による税収減、高齢化の進展による社会保障関係費の増に加え、合併による財政支援措置の段階的終了により、財政構造の硬直化が進むことが予想されるので、歳入の更なる確保、歳出の更なる削減が必要となり、職員数の削減、施設の統廃合や民営化、事務事業の見直しなどによる歳出削減を図り、財政の硬直化抑制に努める。
人件費、物件費及び維持補修費の合計額の人口1人当たりの金額が類似団体平均を上回っているのは、人件費・物件費が要因となっている。本市は保健所や港湾、広域消防などの業務があることや、平成17年、18年及び22年に市町合併を行っており、人口千人当たり職員数が類似団体と比較して多い(本市8.65人、類団6.41人)状況である。今後は「第7次佐世保市行財政改革推進計画」に基づき、定員管理の適正化を図ることで、人件費を抑制するとともに、市有財産の再編・統合を進めることで、公共施設の整理縮小及び公共施設の維持管理にかかる物件費、維持補修費の削減に努める。
全国市平均と比較すると、今年度は昨年度と同様0.3ポイント高となり、類似団体(中核市平均99.7)との比較では、こちらも昨年度と同様0.6ポイント低い状況である。今後も国、他都市の動向等を勘案しながら給与の適正化に努める。
保健所設置市であること、消防業務を市直轄で行い近隣市町の消防業務も受託していることなどの制度的な要因に加え、基地や港湾、水産などの本市の特殊事情や、市域が広いため支所等を17か所設置していることなどの地域独自の事情のため、職員数が多くなっている。今後は第7次行財政改革推進計画に基づく業務の繁閑に応じた体制の見直し、業務手順の見える化によるBPRの推進、正規・非正規の役割整理等の取組による減員のほか、令和3年1月に策定した現業部門を対象とする「定員見直し計画」の着実な実施により、計画期間中の6年間に106名の減員を見込んでおり、これらの取組により定員管理の適正化に努める。
昨年度から0.2ポイント増加。市場公募債に係る元金償還が令和2年度に終了したことに伴い、公債費への普通交付税算入額が減となったことなどから、平成30年度単年度の比率より令和3年度単年度比率は増加した。類似団体平均、全国平均、県平均をいずれも下回った。今後も地方債の発行を抑制するとともに、市債を活用して実施する投資的な事業については、後年の財政負担を考慮し、財政措置の高い有利な市債を活用するなど計画的な財政運営に努める必要がある。
昨年度に続き、将来負担比率はマイナス数値となっている。令和3年度は、計画的な償還などにより地方債残高などの将来負担額が減となったものの、充当可能歳入は増となり、比率算出の分子は減となり、マイナス比率は低下している。自主財源に乏しい本市において、公共施設の整備に必要な財源として地方債を多く発行していることや、平地の少ない地勢上、下水道の設備投資に多額の費用がかかることで各々大きくなっているものであるが、「実質的なプライマリーバランスの黒字化(元金償還額以上に地方債を発行しない)」を原則として財政運営を行っており、地方債残高は今後も減少に努める。
令和2年度から0.7ポイント減の25.9%となっており、類似団体平均、県平均より高くなっている。減少の主な要因は歳入経常一財が増加したことなどによるものである。今後とも行財政改革の推進により、人件費の抑制に努める。
物件費は、令和2年度から0.4ポイント減の14.3%となっており、全国平均、県平均を上回るものの、類似団体平均より低い状況となっている。減少の主な要因は、公衆衛生関係経費が減少したことなどによるものである。類似団体や全国平均と比べ、人口一人当たり決算額が、商工費や農林水産業費で多くなっている。物件費の増加は、経常収支比率の大きな要因となるため、今後、公共施設の再編を進め、施設維持管理経費等、経常的な物件費の縮減に努める必要がある。
令和2年度と比較し、0.3ポイント減の15.2%となっており、県平均、類似団体よりも高い状況である。経年比較で減少した主な理由は、生活保護世帯数の減によるもの。類似団体と比べ、老人福祉費や教育費にかかる扶助費が多くなっている。本市では令和11年度に高齢者人口のピークを迎える予想であり、今後も高齢化社会に伴う民生費全般の扶助費の増加などが予想されるため、健全な財政運営の確保に努める。
令和2年度から0.8ポイント減少し、13.1%となり、全国平均、県平均、類似団体平均を上回っている状況である。経年比較で減少した主な要因は、後期高齢者医療事業への療養給付費負担金が減少したことが挙げられる。繰出金については、各特別会計においては事務費削減、保険料の適正化に努め、財政健全化を図っていく。
令和2年度と同数値の5.8%となっており、類似団体等の平均を大きく下回っている。類似団体や全国平均と比べ、人口一人当たり決算額が、単独で行う補助交付金で下回っている。補助金等見直しガイドラインに基づき、補助金交付の適正化を図っているが、今後も交付要綱の見直しによる経費縮減や、公営事業会計等の繰出(補助)先の財政状況の把握や健全化を図り、歳出抑制に努める。
令和2年度と比較し、前年度から0.1ポイント増の16.0%となり、県平均よりは少ない。経年比較では、令和2年度に公共事業等債などの建設事業が償還終了したことなどにより地方債残高が減少したものの、令和元年度までに整備した廃棄物処理施設や学校空調設備などの大型事業の償還を開始し、微増となっている。市債発行額を元金償還金の範囲内とする基本方針を継続するとともに、実施事業の厳選とコスト意識の徹底により、公債費負担の軽減を図っていく。
公債費を除く経費にかかる経常収支比率は、全国平均、類似団体平均を上回っている。公債費償還が増加したことから、経常収支比率に対する公債費以外の割合が増加したことががうかがえる。今後とも、市債発行額を元金償還金の範囲内とする基本方針を継続し、公債費負担の軽減を図っていかなければならない。各項目の微増の要因は歳入経常一財の減によるものが大きいため、歳出の削減と合わせて、歳入経常一財の確保が課題である。
(増減理由)財政調整基金において、税収増に伴う積み立てやコロナ対応分積み立てなどにより増、ふるさと佐世保元気基金が増となったものの、減債基金において、非常用電源整備事業償還繰出などにより減、災害補てん基金において積立を行ったことで、基金全体としては増となった。(今後の方針)財政調整基金と減債基金から公募債一括償還などの特殊要素を除いた実質的な残高が、標準財政規模の10%以上を維持できるように努めている。施設整備基金では、今後策定される公共施設の再編に関する実施計画に基づき、計画的に運用していく。
(増減理由)令和3年度は、地方創生事業への充当などにより取り崩したものの、税収増に伴う積立やコロナ対応分積み立てなどにより、残高は増となった。(今後の方針)財政調整基金と減債基金から公募債一括償還などの特殊要素を除いた実質的な残高が、標準財政規模の10%以上を維持できるように努めている。
(増減理由)減債基金の減は、条例積立と運用益によるものである。(今後の方針)財政調整基金と減債基金から公募債一括償還などの特殊要素を除いた実質的な残高が、標準財政規模の10%以上を維持できるように努めている。
(基金の使途)合併市町村振興基金:地域住民の連帯の強化及び地域振興等に資する事業施設整備基金:施設の整備を推進し、市民の安全及び行政サービスの向上に資する事業ふるさと佐世保元気基金:恵まれた自然とともに市民が元気で輝くまちづくりに資する事業(増減理由)令和3年度は、施設整備基金において、本庁舎のリニューアル事業、公民館等整備事業、小学校校舎改築・長寿命化事業等に充当したことから減となった。また、災害補てん基金において積立、ふるさと納税寄附金を原資とするふるさと佐世保元気基金において、寄附金の増に伴い増となった。(今後の方針)施設整備基金:今後策定される公共施設の再編に関する実施計画に基づき計画的に運用していく。ふるさと佐世保元気基金:寄附者が寄附の際に選択された4つの活用方法に沿った運用を行う。
有形固定資産減価償却率は、類似団体内平均値より高い水準にある。これは、類似団体よりも多くの資産を持っているためで、「佐世保市公共施設等総合管理計画」に基づき、計画的な施設の集約・更新を推進しているところである。しかしながら、全国平均並びに県平均との乖離は依然としてあるため、今後、集約・更新を加速するために「佐世保市公共施設等総合管理計画」の見直しに着手している。
債務償還比率は類似団体平均を下回っており、主な要因としては、計画的な地方債の借入および交付税措置の高い地方債の借入を行ったことなどにより将来の負担を抑えていることなどが要因と考えられる。
将来負担比率は発生していない一方、類似団体内平均値との有形固定資産減価償却率の差は前回の1.3ポイントから1.6ポイントに拡大している。有形固定資産減価償却率の分析は上記のとおりであり「佐世保市公共施設等総合管理計画」の見直しを行い、公共施設の適正な管理に努めていく。
実質公債費比率は類似団体と比較して低い水準にあるが、令和3年度は令和2年度と比較して0.2ポイント上昇した。これは、合併特例債などの交付税措置の大きい地方債の元利償還金が減少したことなどによるものである。今後も実質公債費比率は上昇する見込みとなっており、これまで以上に公債費の適正化に取り組んでいく必要がある。
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