経営の健全性・効率性について
収益的収支比率は、過去4事業年度は99%以上を継続していたが、公営企業会計適用のため総費用増加により減少となっている。なお、総収入の大半を一般会計からの繰入金に依存しているため、さらなる経費削減等による繰入金の縮減を図る必要がある。また、今後の更新投資等に充てる財源確保がないことが継続課題である。企業債残高対事業規模比率は、使用料収入の増加と、分流式下水道に要する経費として地方債現在高に対する一般会計の負担率が上昇したことにより、当年度も比率が低下した。そのため、類似団体と比較して大幅に低くなっている。経費回収率は、前年度は99%を超えていたが、公営企業会計適用による総費用の増加により、一時的に減少している。引き続き継続的な歳出の縮減に取り組む必要がある。汚水処理原価は、前年度と比較して増加しているが、類似団体と比較してもまだ低い状況である。ただし維持管理費節減により、さらなる逓減が可能と見込まれる。施設利用率は、類似団体と比較して高い水準を維持しているが、公共下水道への一部統合を予定しており施設利用率の減少が見込まれる。水洗化率は、類似団体と比較して高く、概ね良好といえる。安定的な使用料収入の確保や水質保全の観点から、さらなる水洗化率の向上と、同指標の推移を注視する必要がある。
老朽化の状況について
昭和61年8月の供用開始から30年以上経過するが、管渠の更新化は未着手である。区域内人口の減少及び施設の老朽化のため修繕費が増加してきている処理区域について、一部を公共下水道に統合し、維持管理費を含めライフサイクルコストの最小化を図る。
全体総括
施設の維持管理費は全て使用料収入で賄うことを経営方針の基本に据えた事業運営を今後も継続していく。当年度も世帯数の減少に伴う使用料収入の減少があり、維持管理費においても一般会計からの繰入金に依存している。また令和4年4月の漁業集落排水事業の公共下水道事業への一部統合により経営指標の悪化が見込まれるため、今後一層経費削減に取り組むなど健全経営に向け努力する必要がある。また、資産状況等を把握し健全な経営を行うため、公営企業会計の適用について取組を進めている。