経営の健全性・効率性について
①経常収支比率は、一般会計繰入金について、令和3年度の基準外繰入金を総収益と総費用が均衡する水準まで減額したことから、新型コロナウイルス感染症に係る減免を行った前年度の106.11%をさらに6.56ポイント下回る99.55%となり、類似団体の水準を大きく下回る結果となりました。③流動比率も35.10%と前年度より7.12ポイント改善したものの、100%を大きく下回っています。類似団体と比較しても支払能力を高めるための経営改善が必要となっていますが、企業債の償還が進んでおり、今後数年で元金償還額が減価償却費の額を下回る水準まで減少する見込みであることから、資金的に厳しい状況は徐々に改善する見込みです。④企業債残高対事業規模比率は、前年度より100.48ポイント改善し、ほぼ類似団体の水準となりました。⑥汚水処理原価については、企業債の償還により資本費部分は減少しているものの、流域下水道維持費負担金が増加傾向であり、前年度より3.91円悪化し、類似団体より若干高い水準となりました。⑦経費回収率については、前年度の減免の影響で見た目上は5.69ポイント改善していますが、減免の影響を除いて計算した前年度の経費回収率は88.89%であり、実際は2.85ポイントの悪化となっています。類似団体と比較しても100%を下回っている現在の状況を改善していく必要があります。⑧水洗化率については、類似団体より高い水準であり、100%の達成に向け、水洗化の啓発に継続的に取り組んでいます。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率は増加傾向にありますが、②管渠老朽化率、③管渠改善率は類似団体の水準を下回っています。これは、昭和50年代に整備した資産が多いことが原因であり、今後10年程度は老朽化が問題になることはないと考えていますが、より長く安全に使用できるよう、計画的な管渠の維持管理や更新に努めます。
全体総括
安全で安心な下水道を維持し、環境と共生し続けるためには、中長期的な視点に立った経営基盤強化が重要であることから、平成28年度に策定した「宝塚市下水道事業経営戦略」を令和3年度に見直しました。将来的には、現在のような資金的に厳しい状況も改善していくと見込んでいますが、本市は自前の下水道処理施設を有しておらず、流域下水道に頼らざるを得ないため、その維持管理費負担金の増加に対応していく必要があり、市独自の経営努力だけで指標を改善していくことが難しい部分もあります。そのため、今後も県や流域下水道構成市との情報共有を十分に行いながら、管渠の老朽化が本格化する前に経営指標の改善に取り組み、引き続き経営戦略に基づいた経営基盤の強化に向け、事業の実施・進捗管理に努めていきます。