経営の健全性・効率性について
本市下水道事業は平成31年4月に地方公営企業法を適用するため、平成30年度は打切決算となり、未収金及び未払金が発生し、特に収益的収支においては未収金の割合が大きく、各経営指標に影響を与えている。当該年度の収入で費用をどの程度賄えているかを表す収益的収支比率は、前年度より悪化しているが、これは打切決算の影響であり、実際は平成30年4月に実施した使用料改定で増収となったことにより改善している。使用料収入に対する企業債残高の割合である企業債残高対事業規模比率についても、前年度より悪化しているが、これも打切決算の影響であり、実際は使用料改定で増収となったことにより改善している。しかし、企業債残高は減少傾向であるが事業開始当初の大規模投資分が残っているため、類似団体平均値より高くなっている。使用料で回収すべき経費(公費負担分を除く汚水処理費)をどの程度使用料で賄えているかを表す経費回収率についても、前年度より悪化しており、また、汚水処理に係るコストを表す汚水処理原価については、前年度と同程度となっている。これらも打切決算の影響であり、実際は使用料改定で増収となったことにより経費回収率は改善し、類似団体平均値よりも良好な数値を維持しているが、流域下水道維持管理負担金の増加等による汚水処理費の増加で、汚水処理原価は悪化し、類似団体平均値と同程度となっている。なお、施設利用率については、単独処理場を設置していないため、当該値を計上していない。
老朽化の状況について
本市の汚水管渠は、供用開始後30年程度で著しい劣化は見られないものの、地域条件によっては劣化が進行している管渠もあることから、それらの管渠については、順次、改築更新を行っている。
全体総括
平成30年4月に下水道使用料を改定した結果、収益は増収となり、打切決算の影響を除けば各指標は一定改善したが、今後も流域下水道維持管理負担金は更に増加していく見込であることや、事業開始当初の企業債償還金が令和4年頃まで高水準で継続すること等により、一般会計からの負担金に大きく依存した経営が続く見込みである。また、企業債の償還金の水準が下がった後も、管渠の改築更新時期が迫ってくることから、更なる安定した使用料収入の確保に努めるとともに、施設の効率的な維持管理や延命化を図り、経営の健全性を高めていく。今後は、経営状況を明確にするため、令和元年度中に経営戦略を策定し、施設・設備の現状把握や将来の需要予測により必要額を算定し、その財源として事業規模に見合った起債、公費負担の確保、使用料の改定に取り組んでいく予定である。