大阪府：流域下水道

経営の健全性・効率性について

大阪府においては、平成30年度から地方公営企業法を一部適用しており、企業会計として初めての決算を行った。「①経常収支比率」は、減価償却費等に見合う収益が不足していることにより、100％を下回っている。現在、収益不足の改善に向けた経費負担ルールの見直しに取り組んでいる。「②累積欠損金比率」は、地方公営企業法の適用にあたり各種引当金等を特別損失に計上したことと、①と同じく減価償却費等に見合う収益が不足していることから欠損金が発生したことにより、0％を超えている。「③流動比率」は、一年以内に償還する企業債の償還財源となる減債基金積立金を固定資産に計上しているため、100％を下回っている。「④企業債残高対事業規模比率」は、企業債の発行額よりも償還額の方が大きいため、企業債残高は減少傾向にあり、類似団体の平均値を下回っている。「⑥汚水処理原価」は、流域下水道区域が大きいことによるスケールメリットとこれまで実施してきたコスト縮減の効果により、類似団体の平均値を下回っている。「⑦施設利用率」は、類似団体と比較して高い水準であり、処理能力に見合った処理量といえ、過大なスペックとはなっていないといえる。「⑧水洗化率」は、95％を超え高い水準となっているが、今後の整備については地理的要因等による費用対効果も踏まえた検討を行う必要がある。

老朽化の状況について

「①有形固定資産減価償却率」は、早期に事業着手したため土木建築施設の供用期間が長いこと、機械・電気設備は標準耐用年数を超えて長寿命化しているものが多いこともあり、50％超となっている。「③管渠改善率」は、供用年数は長いものの本格的な改善が必要な管渠が少ないため類似団体と比較して低い値を示している。なお、管渠については計画的に調査を行っており、対策が必要と判断された場合は、速やかに対応策を検討し実施している。

全体総括

大阪府の流域下水道事業は、事業着手から50年余りを経て普及率が向上した現在、老朽化の進む膨大な資産を計画的に更新・維持管理していく必要がある。そこで地方公営企業法を適用し、的確に資産価値や経営状況を把握することが可能となった。経営状況としては、減価償却費等に見合う収益の不足による損失の発生が明確となっており、収益不足の改善に向けて関連市町村と経費負担ルールの見直しを進めていく。また、安定した下水道サービスの提供に向け、経営戦略に基づき、コスト縮減の取組みや自主財源確保等に努めていく必要がある。