経営の健全性・効率性について
平成31年4月に公営企業会計に移行したため、令和元年度以前の決算状況との比較はできないことから、非表示となっています。経常収支比率は、令和2年度と比較して0.21ポイント増の100.51%と継続して黒字となっていますが、類似団体平均値及び全国平均値を下回っています。また、汚水処理原価が令和2年度と比較して低くなった一方、使用料単価は高くなったことにより、経費回収率は2.91ポイント増の94.10%となっています。経常収支比率は100%を超過していますが、経費回収率が低いことから、現状で下水道使用料のみでの健全な経営は厳しい状況にあります。収益の根幹である下水道使用料については、新型コロナウイルスワクチン接種の本格化に伴い、外出機会が増加したことなどにより、家事用汚水量は減少した一方、企業活動が回復傾向となったことから、事業汚水量は増加となり、前年度比で27,044千円(税抜き)の増収となりました。今後の事業用汚水については、伊勢原大山インター土地区画整理区域への企業進出により、汚水量の増加(下水道使用料の増収)を見込んでいるものの、一般家庭における節水傾向が続いているため、大幅な増収は見込めない状況です。下水道使用料の増収へ向けた取り組みのほか、経費削減にも努め、下水道経営の健全化を図ります。なお、汚水処理原価は、当市では処理場を有していることから、類似団体平均や全国平均を上回っています。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率については、伸び率は例年と同程度の割合ですが、法適用後3度目の決算と法適用から期間が短いこともあり、類似団体平均値及び全国平均値を下回っています。また、管渠老朽化率は適切に長寿命化や管更正等を実施していることから、0.00%となりました。処理場や管渠など下水道施設の老朽化に伴い、ストックマネジメントを策定し、施設の長寿命化を図る取組みを継続的に行っており、管渠改善率は、類似団体平均値及び全国平均を上回っています。大規模な地震に備えるための地震対策事業など、今後ますます費用負担の増大が懸念されることから、今後も国の交付金を有効活用し、計画的に改築・更新を進めます。
全体総括
令和3年度は、経営基盤の強化を図ることを目的として令和2年度に策定した経営戦略の計画初年度にあたり、当該戦略に基づき、事業の進捗を図りながら、収益の根幹である下水道使用料が増収となるなど経常利益が増となりました。現在、施設の老朽化や人口減少、核家族化などの進行により、下水道経営を取り巻く環境は厳しい状況にありますが、住民生活に必要なサービスの提供を安定的に継続するために、経営の効率化・健全化を図ります。健全な下水道経営の実現に向けて、今後も経営戦略に基づき、中長期的に持続可能な財政運営を行い、一般会計からの繰入金及び資本費平準化債をはじめとした企業債残高の縮減に努めます。