経営の健全性・効率性について
平成31年4月より公営企業法の財務規定を適用、公営企業会計へ移行し、各指標は前年度から皆増。①経常収支比率112.13%…経常的収支のバランス「100%以上達成につき良好」②累積欠損金比率0%…損失の累積状況「黒字を確保(損失なし)」⇒評価①②:経営の健全性に問題なし。(要因)過去分も含め十分な繰入金を受入れており、必要な使用料収入も確保できている。⑤経費回収率125.73%…汚水関係の収支バランス「100%以上達成につき良好」⇒評価:受益者負担は適正。100%超部分は積極的に内部留保し、今後増大する更新投資への備えとする必要がある。(要因)⑥汚水処理原価が集中投資分の企業債償還終了に伴う支払利息の減等により小さい。⑧水洗化率がほぼ100%と下水道使用料の収入も確保できている。③流動比率122.61%…短期的債務に対する支払能力「100%以上を達成につき良好」⇒評価:資金繰りに問題なし。(要因)黒字で現金を留保、短期的債務の企業債償還金も集中投資分償還終了により少ない。④企業債残高対事業規模比率161.91%…下水道使用料に対する企業債残高の大きさ「全国・類似団体平均を大きく下回り良好」⇒評価:収入に対し無理のない借入状況。(要因)過去の集中投資分償還終了により企業債残高が小さく、使用料収入も確保している。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率4.76%…老朽化の程度⇒評価:全国・類似団体平均を下回り老朽化が進んでいないように見えるが、これは法適用時に過去の減価償却累計額相当分を控除しているためである。控除分を考慮すると表面的な数値以上に老朽化が進んでいる。②管渠老朽化率0%…法定耐用年数超え管渠の割合⇒評価:現在0だが令和3年度以降急増の見込み③管渠改善率0.24%…延長に対する改築・修繕割合⇒評価:全国・類似団体平均を上回り一見良好だが、平成2年度に全国で13番目の早さで整備完了しており、今後の耐用年数50年超管渠の急増を考慮しなければならない。よって、老朽化の各指標は参考にしつつも、単純な他団体比較や数値の良し悪しにとらわれず、ストックマネジメント等により、老朽化の実態を把握した上で、最も効果的な対応を決める必要がある。
全体総括
小平市の令和元年度決算では、現状特に問題は見当たらない。しかし今後は人口減少や節水型社会への変化等により下水道使用料の減収が予想される一方、昭和45年度の事業開始から約50年が経過し、老朽化した施設が大量に更新時期を迎えるため、下水道財政は年々厳しい状況になると見込まれる。これに対応するため、令和元年度に策定した「小平市下水道ストックマネジメント実施方針」に基づき、老朽化の実態を把握し、計画的に点検・調査及び改築・修繕を実施して投資を平準化し、効率的に下水道施設の長寿命化を図る。また、令和2年度に「経営戦略」を策定し、予測される経営状況の悪化に備え、内部留保を活用した企業債の借入抑制や経費縮減に取り組むとともに、将来的な下水道使用料水準の適正化を意識して各指標のモニタリングを実施する等、効率的で健全な下水道経営を推進し、経営基盤の強化を図る。