経営の健全性・効率性について
①の「経常収支比率」は109%となっており、単年度の収支が黒字となっています。新型コロナウイルス感染症の影響で、下水道使用料が減少していますが、全国平均や類似団体平均を上回っています。③の「流動比率」は116%となっており昨年度より34ポイント改善しました。法適用後は利益剰余金の増加や減価償却による内部留保の確保が進み、現金預金が増加傾向にあります。④の「企業債残高対事業規模比率」は、企業債の償還による低減で平均値の半分以下であり、良好な状況にあります。⑤の「経費回収率」は114%と全国平均値を上回っており、⑥の「汚水処理原価」は全国平均値を下回っていることから健全な経営状況であると考えられます。⑦の「施設利用率」は平均を下回っていますが、現在稼働中の「錦町下水処理場」は今後「東京都流域下水道北多摩二号水再生センター」に編入される予定となっています。⑧の水洗化率はほぼ100%に到達しています。以上の指標の分析結果から、立川市の経営の健全性・効率性ともに問題ないと考えます。
老朽化の状況について
昭和30年度より下水道事業に着手し、下水道管渠の整備を進めてきましたが、令和3年度末現在、全体管渠のうち約22%が標準耐用年数(50年)を経過しており、管渠の老朽化が進んでいます。①の「有形固定資産減価償却率」は全国平均値を大きく下回っています。これは法適用以前の減価償却累計額を取得価額から控除しているためで、実際には指標以上に老朽化が進んでいます。②の「管渠老朽化率」が22%で全国平均値を上回っています。一方③の「管渠改善率」は0.23%で全国平均値を下回っています。今後は施設の点検や調査により下水道管の劣化状況を的確に把握し、その結果に基づき、ライフサイクルコストの最小化や事業費の平準化を考慮し計画的に老朽化対策を進める目的で、令和2年度に策定した「立川市下水道ストックマネジメント計画」に基づき、老朽化対策を進めていきます。
全体総括
立川市の下水道事業は、現状では経営の健全性・効率性ともに問題ないと考えられます。しかし今後は人口減少や節水型社会への変化等により、下水道使用料の減収が予想される一方、標準耐用年数を経過した管渠などの割合は20%を超え年々増加しており、施設の老朽化対策は今後の課題となっています。令和2年度に公営企業会計に移行し、策定した下水道事業経営戦略や下水道ストックマネジメント計画に基づき更に適正な施設管理と持続可能で安定した下水道経営を図ります。