経営の健全性・効率性について
①収益的収支比率…平成29年度は前年度と比較し約10ポイント以上減少している。過去4年間と比較しても減少しているため、水準を上昇できるよう取り組みが必要である。④企業債残高対事業規模比率…平成29年度は前年度と同様平均値よりも高い値となっている。現状だと今後も同様の状況で推移することが予想されるため、使用料の改定等を検討する必要があると思われる。⑤経費回収率…平成29年度は前年度より約6ポイント下回っており、過去5年間平均値よりも下回っている。今後更なる使用料滞納回収の努力、使用料改定の検討が必要と思われる。⑥汚水処理原価…過去5年間平均より大きく上回っているが、し尿処理を多野藤岡広域市町村圏振興整備組合に委託し、共同処理を行っているため、負担金等の比率が多くなっている。町の立地上、負担額が高額になるのはやむを得ないが、し尿処理の広域化が完了しているという点を考慮すると、現状維持が好ましいと考えられる。⑦施設利用率…市町村設置型事業で整備した浄化槽については住民の一般家庭に設置されているため、過去5年間高い値で推移している。利用状況としては、適正に利用されていると考えられるため、継続してこの値を保つ必要がある。今後、利用率が低下する要因として、浄化槽を設置済みの家庭が空き家となった場合が考えられる。また、近年新規に合併処理浄化槽への転換、普及が見込めないことも利用率低下に影響する可能性もある。⑧水洗化率…過去5年間低い値である。合併処理浄化槽の更なる普及が必要である。町民の現状を考慮すると合併処理浄化槽への転換を積極的に呼びかけることはできないため、現状維持が好ましいと考えられる。
老朽化の状況について
当町では平成8年度に合併処理浄化槽市町村設置型事業を開始し、事業開始から約20年が経過している。設置後の合併処理浄化槽については、神流町浄化槽清掃業許可業者各社による保守点検や清掃、法定検査を実施しているなかで公益財団法人群馬県環境検査事業団からの不適正浄化槽に対する指摘は少ない。今後も適正にに管理を徹底し長く使用できるよう心がける必要がある。町として浄化槽本体の老朽化に関する状況把握は実施していないが、委託業者と連携し故障箇所の早期発見、早期修繕ができるような体制を構築する必要がある。現在まで大規模な修繕は発生していない。近年使用頻度減少に伴い浄化槽内部の担体の修繕が発生しているが、これは1人暮らし世帯等使用頻度の少ない浄化槽に発生するため、仕方ないことであると認識している。
全体総括
全体的に健全な経営といえる数値へ近づけるための経営改善が必要と考えられる。水洗化率については平均値より大きく下回っている。合併処理浄化槽への転換を呼びかけることが必要であることに関して町として理解はしているが、過疎地域で高齢者世帯が多い現状を考慮すると積極的な呼びかけは行えないのが現状である。経営に関しては、経費削減や適正な使用料について検討が必要である。さらに今後は修繕にも重点を置いて事業を継続していく必要がある。