鳥取県日南町：日南町国民健康保険　日南病院の経営状況（2020年度）

地域において担っている役割

鳥取県西部地区最南部で島根、岡山、広島３県に接した人口4300人余りの中山間へき地の町に位置する一般病院です。高齢化が50％を超えた地域を担う町内唯一の病院であり、超高齢化社会での医療・福祉・保健、地域連携の要としても重要な役割があります。高齢になっても自宅で暮らすことができるようにと、在宅支援会議、地域包括ケア会議の運営などを通じて、保健・医療・介護・福祉の連携と各所の役割の理解を図り、効果的な生活支援への取り組みを続けています。

経常収支比率

年度	2012	2013	2014	2015	2016	2017	2018	2019	2020
当該団体値（％）	106.0	104.5	102.0	100.0	94.6	97.0	103.2	99.4	100.2
類似団体内平均値（％）	98.1	97.7	98.5	98.0	98.4	98.2	97.5	97.7	100.7

医業収支比率

年度	2012	2013	2014	2015	2016	2017	2018	2019	2020
当該団体値（％）	87.1	84.4	81.7	80.9	72.1	74.3	76.5	73.3	70.1
類似団体内平均値（％）	83.2	82.5	79.7	79.6	77.9	78.1	77.0	77.1	73.8

修正医業収支比率

年度	2012	2013	2014	2015	2016	2017	2018	2019	2020
当該団体値（％）							71.3	67.7	64.7
類似団体内平均値（％）							73.2	73.2	69.9

累積欠損金比率

年度	2012	2013	2014	2015	2016	2017	2018	2019	2020
当該団体値（％）	0.0	0.0	0.0	0.0	0.0	0.0	0.0	0.0	0.0
類似団体内平均値（％）	71.9	70.5	64.1	65.7	71.4	78.1	82.8	84.8	90.5

病床利用率

年度	2012	2013	2014	2015	2016	2017	2018	2019	2020
当該団体値（％）	69.9	69.5	67.8	67.2	63.6	65.7	72.7	66.9	66.1
類似団体内平均値（％）	69.2	68.6	67.4	66.6	66.8	67.9	67.2	66.1	62.3

入院患者１人１日当たり収益

年度	2012	2013	2014	2015	2016	2017	2018	2019	2020
当該団体値（円）	19141.0	18785.0	19565.0	20016.0	19548.0	19498.0	19710.0	20119.0	20617.0
類似団体内平均値（円）	23061.0	23475.0	23857.0	24371.0	24882.0	25249.0	25597.0	26415.0	27227.0

外来患者１人１日当たり収益

年度	2012	2013	2014	2015	2016	2017	2018	2019	2020
当該団体値（円）	6923.0	7528.0	7655.0	7534.0	7529.0	7363.0	7051.0	7391.0	7281.0
類似団体内平均値（円）	8338.0	8603.0	8471.0	8736.0	8797.0	8852.0	9034.0	9135.0	9509.0

職員給与費対医業収益比率

年度	2012	2013	2014	2015	2016	2017	2018	2019	2020
当該団体値（％）	60.6	61.6	62.9	66.8	76.8	76.2	72.3	76.8	86.4
類似団体内平均値（％）	64.7	65.3	67.9	68.0	70.0	70.8	71.6	72.5	78.5

材料費対医業収益比率

年度	2012	2013	2014	2015	2016	2017	2018	2019	2020
当該団体値（％）	9.9	10.7	9.6	9.9	10.9	9.7	9.9	9.6	8.8
類似団体内平均値（％）	19.6	19.1	18.0	18.0	17.6	17.2	16.6	16.1	15.8

経営の健全性・効率性について

令和2年度の経常収支比率は100％を達成したが、医業収支比率は令和元年度より減少しています。これは、経常収支比率の良好化には医業外収入比率の増加が影響していることを表しています。医業外収入比率の増加は新型コロナウイルス感染症関連の補助金収入の増加が大きく影響しています。また、病床利用率の減少は新型コロナウイルス感染症患者の増加を考慮した意図的な入院制限が大きな理由です。入院・外来患者の1人あたりの収益はともに増加しており、これをアフターコロナ時にも維持していくことが重要です。職員給与費対医業収益比率の上昇は新規職員の採用、介護職員の正社員化のためです。病院の組織活力を維持しつつ、職員への適正な給料の支給をするために、ある程度は必要なことです。職員の年齢別人員構成の平均化を図ることで、今後数年の後には減少に転ずると予測されます。

有形固定資産減価償却率

年度	2012	2013	2014	2015	2016	2017	2018	2019	2020
当該団体値（％）	58.6	61.5	69.5	70.4	73.2	76.1	77.3	78.3	72.6
類似団体内平均値（％）	43.0	43.9	52.4	52.6	54.2	53.8	56.1	56.4	56.9

器械備品減価償却率

年度	2012	2013	2014	2015	2016	2017	2018	2019	2020
当該団体値（％）	64.0	67.1	80.2	75.1	78.1	82.2	81.9	83.9	60.5
類似団体内平均値（％）	60.6	59.1	68.9	68.0	70.0	71.0	73.2	73.4	72.5

１床当たり有形固定資産

年度	2012	2013	2014	2015	2016	2017	2018	2019	2020
当該団体値（円）	31179131.0	31037646.0	31280202.0	31979778.0	32046111.0	32121434.0	31831444.0	32354010.0	32623717.0
類似団体内平均値（円）	33688486.0	34462126.0	34878088.0	36094355.0	36941419.0	38480542.0	38744035.0	40117620.0	42330999.0

老朽化の状況について

有形固定資産減価償却率は前年度と比べ横ばい状態ですが、機械備品減価償却率は前年度と比べ減少しており、類似病院平均値より低くなっています。大型医療機器等の計画的な更新が影響していると考えられます。病院施設の老朽化が進んでいる状態です。経営状態を注視しながら、患者の療養環境が悪化しない様に、計画的に更新を図っていく必要があります。また、１床当たりの有形固定資産は依然類似病院を下回っていますが、微増状態が続いています。将来的に減価償却費としての収益的支出の増大につながらない様に注視し、適切で計画的な投資を行っていく必要があります。施設の老朽化に対しては、改修により施設維持を図っていく必要があるますが、将来の建て替えも見据えた計画的な修繕・点検が必要です。また、医療機器については、日頃の適正な保守管理により、故障等による経費を抑制し、交付金・補助金等を活用し患者の療養環境に影響を及ぼすことの無いように、効果的・効率的な更新をする必要があります。

全体総括

令和2年度の経常収支比率は100％に達していますが、医業比率が減少しています。これは新型コロナウイルス感染症関連の補助金額等の医業外収益の上昇が原因と考えられます。令和元年度からコンサルタントを導入し、病院経営計画を策定し、非効率な状態を改善しようと計画している状況です。過剰な委託費等の経費の削減や、適切な人員配置による効率化も検討している状況です。職員給与費対医業収支比率が上昇していますが、新規職員の採用と労働生産性の向上により改善を図っていきたいです。入院患者外来患者の1人1日当たりの収益が類似病院平均値より低い状態が続いています。コンサルタントの導入を契機として、一層の経営分析と、職員や住民への経営状態の周知により、効率化と理解を求めていきたいです。