青森県青森市：浪岡病院の経営状況（2019年度）

地域において担っている役割

青森市立浪岡病院は、浪岡地区で唯一、地域医療のための病床と救急機能を有する病院であり、地域住民の健康管理、疾病の治療や予防の基幹病院としての役割を担っている。また、平成30年5月より「在宅療養支援病院」として訪問診療を開始し、浪岡地区の地域包括ケアシステムの中核としての役割を担っている。

経常収支比率

年度	2012	2013	2014	2015	2016	2017	2018	2019
当該団体値（％）	94.8	88.1	94.3	92.1	91.4	82.8	77.1	76.6
類似団体内平均値（％）	97.1	96.3	96.9	98.3	96.7	96.6	96.1	96.7

医業収支比率

年度	2012	2013	2014	2015	2016	2017	2018	2019
当該団体値（％）	83.7	74.9	77.5	74.8	72.3	62.8	60.9	67.9
類似団体内平均値（％）	87.7	86.6	85.4	85.3	84.2	83.9	66.8	67.8

修正医業収支比率

年度	2012	2013	2014	2015	2016	2017	2018	2019
当該団体値（％）							47.7	52.8
類似団体内平均値（％）							62.4	62.9

累積欠損金比率

年度	2012	2013	2014	2015	2016	2017	2018	2019
当該団体値（％）	31.5	52.5	124.7	144.2	166.1	211.5	278.8	164.7
類似団体内平均値（％）	92.4	95.4	84.4	85.2	87.1	88.4	87.9	91.0

病床利用率

年度	2012	2013	2014	2015	2016	2017	2018	2019
当該団体値（％）	51.8	44.9	41.5	36.5	31.9	23.2	13.9	58.2
類似団体内平均値（％）	69.0	68.5	68.3	67.9	69.8	69.7	59.4	61.4

入院患者１人１日当たり収益

年度	2012	2013	2014	2015	2016	2017	2018	2019
当該団体値（円）	21029.0	19523.0	20044.0	20523.0	21257.0	22694.0	33019.0	30905.0
類似団体内平均値（円）	31025.0	31577.0	32431.0	32690.0	33491.0	34136.0	26485.0	27761.0

外来患者１人１日当たり収益

年度	2012	2013	2014	2015	2016	2017	2018	2019
当該団体値（円）	6791.0	6158.0	5674.0	5537.0	5515.0	5884.0	6037.0	6105.0
類似団体内平均値（円）	9176.0	9437.0	9726.0	10037.0	9976.0	10127.0	8109.0	8307.0

職員給与費対医業収益比率

年度	2012	2013	2014	2015	2016	2017	2018	2019
当該団体値（％）	76.6	86.8	83.4	90.5	93.8	109.9	110.1	98.9
類似団体内平均値（％）	61.2	61.8	62.9	63.3	64.2	64.2	82.3	81.0

材料費対医業収益比率

年度	2012	2013	2014	2015	2016	2017	2018	2019
当該団体値（％）	19.8	17.9	16.8	16.2	16.7	15.5	13.5	12.0
類似団体内平均値（％）	19.4	19.5	19.2	19.2	18.9	18.6	16.1	16.2

経営の健全性・効率性について

当院の診療状況は、表④のとおり病床利用率が、休職していた内科の常勤医師が復職したこともあり大きく回復したものの、類似病院・全国の平均値まで至っていない状況にある。収益面については、表⑤のとおり1人1日当たり入院収益は、類似病院の平均値より高く、表⑥のとおり1人1日当たり外来収益は、類似病院の平均値より低い状況にある。費用面については、表⑦のとおり職員給与費対医業収益比率は、類似病院の平均値より高く、表⑧のとおり材料費対医業収益比率は、類似病院の平均値より低い状況にある。これらを要因とした経営状況は、表①のとおり経常収支比率が100％を下回り赤字となっているが、表③のとおり累積欠損金比率は、新病院開業に向け、過去の累積資金不足を解消するための基準外繰入金約8億円により、114.1ポイント改善した。

有形固定資産減価償却率

年度	2012	2013	2014	2015	2016	2017	2018	2019
当該団体値（％）	62.2	62.9	71.4	73.0	71.9	73.7	80.6	82.2
類似団体内平均値（％）	48.3	48.0	52.2	52.4	52.5	53.5	54.2	55.4

器械備品減価償却率

年度	2012	2013	2014	2015	2016	2017	2018	2019
当該団体値（％）	82.4	82.2	82.8	84.7	76.6	79.3	81.6	84.2
類似団体内平均値（％）	64.3	63.3	69.6	69.2	69.7	71.3	70.2	72.0

１床当たり有形固定資産

年度	2012	2013	2014	2015	2016	2017	2018	2019
当該団体値（円）	12169724.0	11927372.0	12043352.0	11984317.0	11718533.0	11745065.0	51679343.0	51637257.0
類似団体内平均値（円）	33533100.0	34139294.0	35115689.0	35730958.0	37752628.0	39094598.0	45346697.0	44774257.0

老朽化の状況について

現在の病棟については、昭和45年9月に建設され、昭和58年5月の日本海中部地震で被害を受け災害復旧工事により補強したものの、水周りや空調設備をはじめ、施設全体の老朽化が著しい状況にある。このため、表①②のとおり有形固定資産全体及び器械備品減価償却率は年々高くなっているが、令和3年5月の新病院開業後は、器械備品が更新されるため、償却率が低くなる予定である。

全体総括

当院の経営状況は、病床利用率は回復傾向にあるものの、経常収支では職員給与費の固定費を主な要因として、赤字が続いており、結果として累積欠損金が増加する状況にある。このような状況を解消するため、平成29年度に策定した「青森市公立病院改革プラン2016-2020」及び「同プランの加速化に向けて」に基づき、在宅医療をはじめとした収入増加・確保対策や経費削減・抑制対策などの取組を着実に進めているものの、令和3年度の新病院開業後においても、単独での黒字化は難しいと考えている。