経営の健全性・効率性について
本市の簡易水道事業は、過疎化が進む島しょ部(6つの島)と山間部の5か所にあり、給水人口があわせて約3千人と小規模簡易水道施設を纏めた事業であるため、立地条件や施設規模から効率的な経営は難しい状況で、「⑤料金回収率」や「⑦施設利用率」は類似団体平均値と比べても低い水準である。また、H27年度まで上昇傾向にあった「⑧有収率」は、管路の老朽化などで漏水の発生頻度が増えH28年度に引き続きH29年度も低下したため、類似団体平均値と比較しても低い水準に留まっている。これら老朽施設の更新については、国の補助制度や交付税措置のある辺地対策債などを活用し計画的に進めていくことから、類似団体が企業債残高を縮減している状況で、本市の「④企業債残高給水収益比率」はわずかに増加した。一方、有収水量1㎥あたりどれだけの費用がかかるかを表す「⑥給水原価」は、本市簡易水道が置かれている立地条件等から、類似団体平均値よりかなり高いため、現在の島しょ部の簡易水道料金は上水道料金の2倍の料金設定としたうえで、それでも不足する財源を一般会計が負担することで、「②累積欠損金比率」がゼロとなっている。
老朽化の状況について
H17年1月の市町合併により引き継いだ簡易水道施設は、「①有形固定資産減価償却率」が示す通り多くの施設で老朽化が進み、合併後も国の補助制度などを活用しながら施設更新を計画的に行っているものの、島しょ部や山間部に点在する簡易水道事業の経営は厳しく十分な設備投資の財源を確保することは難しいため、「②管路経年化率」は類似団体平均値より高く、老朽化が進んでいる。また、「③管路更新率」でH25年度の更新率が高いのは、国の補助制度を活用し、島しょ部(怒和地区)の管路更新を行ってきた結果であり、H26年度以降の更新率が急激に減少しているのは、同地区配水池等の施設更新を優先的に行った結果である。※「②管路経年化率」は資料整理のためH27年度当該値から表示。
全体総括
本市の簡易水道事業は、一般会計からの運営補助に大きく依存しているうえ、過疎化等により毎年給水人口が減少するなど、抜本的な経営改善は難しい状況にある中で、施設の延命化を図っている。水道事業者としては、安全で安心な水道水を安定的に供給するため、引き続き施設を適正に維持管理するとともに、H30年度以降は、国の補助制度を活用して、島しょ部(東中島地区)の老朽化した配水管を計画的に更新していく予定である。