経営の健全性・効率性について
人口は変動が少ないながらも減少していることから、料金収入も減少し、収益的収支比率は減少推移となっている。今後、支払利息は横ばいで推移するものの、事業規模が小さい本事業においては維持管理費の大幅な削減は見込めず、人口減少の進行に伴って料金収入が減少すると見込まれるため、収支比率は横ばいもしくは減少傾向になると考える。企業債残高対事業規模比率は、既発債の順次償還により近年は減少傾向にあったものの、H29は料金収入の減少でほぼ横ばいとなった。類似団体と比較してH29で507.04ポイントも上回っており、事業規模から見て経営状況の健全性は低いと言える。今後、地方債残高は着実に減少していく見込みであるが、人口減少による料金収入の減少も見込まれることから、他の下水道事業と併せて料金水準の見直しを検討する必要がある。経費回収率については、増加傾向となっているが、類似団体と比較してH29で20.08ポイントも下回っており、経営の健全性は低いと言える。維持管理費の抑制は事業規模から見て困難であるため、今後は料金の見直し等により健全性向上を図っていかなければならない。汚水処理原価については、H29は修繕費が減少したことにより大幅に改善したものの、類似団体と比較して253.53ポイント上回っており、処理費用の効率は低いと言える。地理的要因により他処理区との統合も困難であるため、費用の効率化が課題となっている。施設利用率については、類似団体と比較してH29で27.88ポイント下回っており、施設の効率性は低いと言える。水洗化率は100%となっており、隣接する他処理区との統合も現実的に不可能なため、効率性の向上が課題である。
老朽化の状況について
処理施設としては小規模なものであり、当面は軽微な修繕で対応が可能であるが、計画的な維持管理を行い経費の平準化を図らなければならない。
全体総括
事業の経営規模からみて大幅な維持管理費の抑制は難しいと考えるが、人口減少による料金収入の減少は避けられない状態にあるため、他の下水道事業と併せて料金見直しの検討を行う必要がある。今後、施設更新に伴う多額の費用発生の見込みはないものの、適切な施設の維持管理を行いながら、計画的な施設修繕等を行い、経営の健全化を図らなければならない。