地域において担っている役割
東播磨医療圏において、高度急性期から急性期の機能を担っている。また、救急医療においては、2次救急医療機関として機能しており、特に循環器領域、小児・周産期領域においては、当該圏域を超え広く受け入れを行っている。さらに、地域の基幹病院として、消化器センター、心臓血管センター、こどもセンター、周産母子センター、がん集学的治療センターを設置し、高度専門医療の提供を行っている。
経営の健全性・効率性について
平成28年7月に新病院へ統合移転しており、移転に際して入院患者を減らした状態でスタートを切っている。そのような状況においても、概ね各種指標で類似病院平均値を上回る結果となっており、健全で効率的な経営ができていると考える。収益面では、30診療科の総合力を発揮し救急受入体制の強化を図り、また、地域医療機関との連携強化の下、新規紹介患者が増加したこと等により、開院後1月程度で病床利用率が90%近くに回復し、手術症例の増加など機能に見合った診療体制を構築できたこと等により、入院診療単価の向上につながったと考える。一方費用面では、職員の採用に際しては、常に費用と収益を想定した採用計画を立てており、人材を投資したことによる収益の確保が想定通りの結果となり、給与費比率の低下につながっている。また、材料費においても、委員会による採用品目の抑制や、徹底した価格交渉の結果、材料費比率の低下につながっている。このように、順調な収益の確保と効率的な費用の削減により、経常収支比率、医業収支比率とも類似病院平均値を上回る結果となっている。
老朽化の状況について
平成28年7月に新病院へ移転開院したため、固定資産のうち建物関係はすべて使用年数0からのスタートとなっており、また、機械備品においても、大半は移設したものの、更新したものも一定数あるため、減価償却率は類似病院平均と比較して、大きく下回る結果となっている。また、設備投資をする際には、医業収益に対する減価償却比率を考慮し、中長期的な施設整備計画を立てているため、1床あたりの有形固定資産額においても、類似病院平均値を大きく下回る結果となり、効率的な病院運営ができていると考える。
全体総括
平成28年度は、第2期中期計画の初年度として新たな使命に取り組むとともに、新病院を開院させ、地域における高度・専門医療や救急、急性期医療体制を大きく前進させている。経営面においては、新病院の開院後、「スムーズな立ち上げと安定稼働」を目標に、全職員が一丸となり、それぞれの課題に取り組んだ結果、機能に見合った医療提供体制の確保ができ、経営基盤の強化が図られたと考える。今後においても、周辺環境の変化や国の医療制度の動向等を注視しながら、地域医療機関との役割分担の下、当院が担う役割を十分に機能させ、さらなる経営基盤の安定化に努める。