地域において担っている役割
と連携のもと、高度な総合的医療を推進するとともに、救急医療や小児医療、リハビリテーション医療などの政策医療を安定的かつ継続的に提供し、医療の質の向上に努めている。特に、将来人口推計に基づく地域医療構想を踏まえ、急性期医療を中心としつつ、今後地域で病床の不足が予想される回復期機能にも一定の軸足を置き、地域包括ケア病棟並びに回復期リハビリテーション病棟を稼働させている。さらに病院併設の訪問看護ステーションの運営も含め、「在宅から入院そして在宅まで」をキーワードに、地域密着型の医療を提供している。
経営の健全性・効率性について
令和2年度は、新型コロナウイルス感染症の流行が拡大した状況下において、市内唯一の受入れ病院として対応にあたってきた。救急・入院・外来ともに患者数が大きく減少したことや、感染症病床の確保に伴い、全面稼働できない病棟が生じたこと等により、医業収益は減少したものの、国、県の空床補償等の補助金収入が寄与したことにより、経常収支比率は前年度を大きく上回り、独法化以降、最大の当期純利益となった。
老朽化の状況について
平成23年10月の地方独立行政法人化以降、設備投資を抑制していた時期もあり、医療機器などの更新がやや遅れている側面がある。建物も最も古い部分では平成元年の使用開始から約30年が経過するなど、法定耐用年数に近づいており、資産の老朽化が進んでいる状況である。財務体質が改善されつつあるなかで、必要性や採算性を検討のもと、計画的な設備投資計画を策定する必要がある。
全体総括
平成23年10月の地方独立行政法人化以降、診療体制の強化および事務部門の構造改革に取り組み、医療の質の更なる向上と安定した経営基盤の確立へと経営努力を続けている。令和2年度は、新型コロナウイルス感染症の状況について見通しが立たないなか、中期計画に基づき、急性期を中心とした総合的な医療の提供を行うと同時に、最前線で感染症対応に当たるなど、自治体病院としての使命を果たしてきた。財務面では新型コロナウイルス感染症の影響により医業収益が悪化したが、補助金等の寄与により現金・預金が増加し、経営基盤を強化できた。