地域において担っている役割
昭和45年に全国で2番目の小児専門病院として神戸市須磨区に開院。平成28年に神戸市中央区のポートアイランドに移転し、県内唯一の小児専門病院として高度専門・特殊医療を提供するとともに、高度急性期医療を担っている。他の医療機関等との役割分担と連携のもと、総合周産期母子医療センターとしてハイリスク妊産婦・胎児・新生児に対応するほか、小児救命救急センターとして重症患者に対する小児三次救急医療を提供し、また、小児がん拠点病院として質の高い小児がん医療を提供している。
経営の健全性・効率性について
・新型コロナウイルスの蔓延により入院患者数、外来患者数とも大きく減少した。・その一方で、診療報酬改定の影響によって入院単価、外来単価とも上昇したこと及び高度専門医療へのニーズは新型コロナウイルスの影響を受けにくいことから、収益の落ち込みは限定的。・費用面では、収益の落ち込みに加えて、前年度における各種引当金過少計上等に伴う給与費増により給与費対医業収益比率が上昇。・材料費は後発医薬品への移行や値引き交渉による削減に取り組んでいるものの、高額医薬品の使用が大幅に増加したため、材料費医業収益比率が上昇。
老朽化の状況について
・質の高い医療と安全安心な病院の実現を目指して策定された「県立こども病院建替整備基本計画に基づき、神戸市中央区のポートアイランド内に新病院を整備し、平成28年5月に移転したところであるため、有形固定資産減価償却率は平均を下回る。・1床当たり有形固定資産額について、一般的に小児専門病院は医療機器の設備に占める割合が同規模の一般病院に比べて高い傾向にあることから類似病院を上回っており、病院移転時に医療機器を新規取得し診療機能の高度化を図ったため、移転後の1床当たり有形固定資産額が増加している。・旧病院から移設した医療機器も多いが、保守点検や修繕等、適切なメンテナンスに努め、機器の長寿化を図っている。
全体総括
・兵庫県下唯一の小児専門病院としてハイリスク妊産婦等の受入強化や診療応援等による先天性心疾患の新規患者の確保等、患者数の増加を図り、特定入院料の算定率向上、在院日数の適正化に引き続き取り組み、収益の向上を図る。・小児専門病院である当院の診療単価は総じて類似病院平均を上回って推移しているが、各種専門医教育病院としての学会指定を受けていることもあり、給与費対医業収益比率が70%超と他の県立小児医療専門病院と比較しても相当に高いため、地域連携の推進や診療機能の充実等による病床利用率の拡大等を通じて、職員数に見合う医業収益の確保、向上を目指す。