地域において担っている役割
こども病院は県内唯一の小児専門病院であり、他の医療機関等との役割分担と連携のもと、小児・周産期医療、小児救急医療、小児がん医療に対する高度専門・特殊医療を提供し、高度急性期医療を担っている。
経営の健全性・効率性について
病院移転前後の患者受入調整等の特殊要因の解消により、経常収益が前年度比17億円増加した一方で、減価償却費の増等により経常費用が12億円増加し、経常損益は4億円の赤字となった。結果、①経常収支比率は4.7ポイント改善し全国平均並の97.3%となった。減価償却費の大幅増(前年比+11億円)により医業費用が医業収益を34億円上回ったが、医業収益の伸び率(13.4%)が医業費用の伸び率(9.5%)を上回ったため、②医業収支比率は前年度から2.2ポイント改善した。小児専門病院である当院の⑤入院・⑥外来単価は、総じて類似区分病院平均値を上回って推移しており、④病床利用率は前年度から8.1ポイント改善した。収益力の向上に向け、地域連携の推進や診療機能の充実等による受入患者の拡大が課題である。
老朽化の状況について
昭和45年に全国で二番目の小児専門病院として神戸市須磨区で開院し、施設の老朽化・狭溢化が進んでいた。質の高い医療と安全安心な病院の実現を目指して策定された「県立こども病院建替整備基本計画に基づき、平成28年5月に神戸ポートアイランド内に新病院を整備し、移転・開院した。建物の新築、機械備品の新規購入に伴い、平成28年度以降、①有形固定資産減価償却率、②機械備品減価償却率ともに全国平均を下回っている。一般的に小児専門病院は医療機器の設備に占める割合が同規模の一般病院に比べて高い傾向にあるが、新病院移転により医療機器を新規取得し診療機能の高度化を図ったため、③1床当たり有形固定資産の金額が増加した。なお、旧病院から移設した医療機器については、保守点検や修繕等、適切なメンテナンスに努めている。
全体総括
平成28年(2016年)度に策定した「新県立病院改革プラン」において、少子化の進展や医療需要の変化、医療政策の動向等を見極め、2025年に向けて高度専門・特殊医療の一層の充実を図ることとした。2016年度から2020年度までの5ヵ年の主要経営指標の数値目標を設定し、2019年度の経常収支黒字を目指す。ハイリスク妊産婦等の受入強化、診療応援等による先天性心疾患の新規患者の確保等、患者数の増加に向けた取組みや、特定入院料の算定率向上、在院日数の適正化等により、収益面の強化を図る。費用面でも、後発医薬品の使用拡大、価格交渉による診療材料費の低減、修繕費や光熱費等経費の抑制により、材料費比率、経費比率の改善を目指す。