地域において担っている役割
地域医療機関・介護全体と連携・協調して、高度急性期、高度専門、政策・先端医療の中核を担う阪神南北医療圏域の基幹医療機関。特にER型救命救急センター、総合周産期母子医療センター、災害拠点病院等の政策性・公共性の高い医療機能の発揮が求められている。また、42の診療科を有することから、幅広い疾患領域への対応と総合診療能力の高さが特質。
経営の健全性・効率性について
当院は平成27年7月1日、旧県立尼崎・旧県立塚口の2病院の移転統合により開設。開院2年目の平成28年度は、全国平均を大きく上回る病床稼働率で極めて多くの入院診療に当たったが、大学病院並みの総合診療機能を果たす。診療報酬加算(総合入院体制加算1)の取得が、外部機関の評価認定要件の不足で平成29年1月からの算定となるなど、総合診療能力に見合う十分な収益が確保出来ず、経常収支比率は98.1%に留まった。DPC制度の下、高度急性期病院の経営健全化に必須の平均在院日数適正化と新規入院患者の確保に努めていること及び材料費対医業収益比率を改善していることなどから、開院3年目に当たる平成29年度の収支均衡に向けた道筋を構築。
老朽化の状況について
平成27年7月に開設された新病院であることから、建物・設備等の老朽化はない。一方、旧病院から引き継いだ医療機器の一部には更新予定に至るものが存在することから、経営収支の状況を踏まえつつ、医療機能の発揮に支障が生じないタイミングで計画的な機器更新を行っていく。
全体総括
阪神南北の高度急性期、高度専門、政策・先端医療を担う総合診療能力の高いレベルでの発揮が求められる地域の基幹病院として、極めて高い病床利用を確保していることから、地域における役割は十二分に果たしている。一方、伝統・文化の異なる2病院の移転統合で生じた手順等の統一化や得るべき診療報酬加算の取得時期のズレなど、移転統合病院としての足枷から、開院2年目での収支均衡は果たせなかった。高度急性期病院に求められる平均在院日数適正化と新規入院患者の確保に努めるとともに、さらなる材料費対医業収益比率の改善により、開院3年目以降の安定した経営基盤確立の足掛かりを得ることができた。