経営の健全性・効率性について
本特別会計は“離島”という地域的特殊性、かつその離島の中で“漁業集落排水”という極めて限られた区域内における事業である。またその特殊性として“観光的要素”も勘案する必要があることから、使用量についてピーク時を見据えた設計が必要であり「⑦施設利用率」が全体的に低く推移していることも特徴である。本会計は会計規模が極めて小さいことから“前年度繰越金”も運用しながら経営健全化に注力しており、これを勘案すると「①収益的収支比率」は事実上100%以上で推移している状況である。「⑤経費回収率」は他団体と比較すれば概ね良好であるものの、歳入全体の約77%を“一般会計繰入金”により対応している状態である。“漁業集落排水”という限られた区域内かつ「⑧水洗化率」100%の現状を勘案すると、これ以上の新規接続を望むことは困難な状況にあることから、今後も一般会計繰入金への依存度が高い状態で推移することが見込まれるため、より一層の経営健全化に注力し、少しでも一般会計繰入金に頼らない事業展開を目指すものである。
老朽化の状況について
平成19年4月の供用開始から平成28年度末で10年経過、施設や管渠は比較的新しい状態にあるものの、相応の経年劣化が進行しつつある。管渠については“漁業集落排水”区域内の布設は供用開始当初において概ね完了していることから、供用開始後に新たな管渠整備がなく、「③管渠更新率」もゼロで推移している。今後も当面新規布設および大幅な更新予定も現時点ではない。しかし将来的に計画的な維持管理は不可欠であり今後検討を進めていこうとするものである。施設については、竣工後10年を経過することから、これまでの定期的なメンテナンスに加え『長寿命化計画』策定等も視野に入れた計画的な対応を進めていこうとするものである。
全体総括
“離島”かつ“漁業集落排水”という特殊要因から、一般会計繰入金に依存する事業が今後も続くものと見込まれる。さらに今後は施設や管渠の老朽化も進行することから、一般会計繰入金への依存度が高まる可能性もあるが、経費削減をはじめとするより一層の経営努力により、少しでも繰入金に依存しない事業展開を進めるよう注力していくものである。