経営の健全性・効率性について
収益的収支比率は100%未満であるが、年々比率が上がっていることから、宅内排水設備の指導強化による誤接続の減少や経費削減等、経営改善に向けた取組みの成果が上がっていると考えられる。経費回収率が100%未満であることから汚水処理が使用料収入以外の収入にも頼っていることがわかる。汚水処理を使用料収入で賄うためには、汚水処理費を見直し、更なる経営改善の取組みが必要である。また、汚水処理原価にばらつきがあることから経営改善による減少よりは、外的要因によることも推測される。今後は、経営改善による緩やかな減少を目指していく。類似団体と比べて経費回収率が低いことと汚水処理原価がほぼ平均値若しくは平均値以下であることから汚水処理費の見直しと併せて、使用料の見直しも不可欠であると考えられる。水洗化率は近年、95%以上となっているため引き続き、処理区域拡大に伴う公共下水道接続啓発を行う。
老朽化の状況について
北本市における最も古い管路施設は、管渠施工後から40年が経過しており、管渠の老朽化における下水排除機能の低下や、管渠の破損による道路陥没のリスクが高まっていることが懸念されている。このため、平成22年度に長寿命化を考慮した計画的な下水管渠の詳細調査を実施した。調査区域は、布設年度の古いJR高崎線東側下水道区域380haの幹線を対象とした。点検調査の結果、まだ標準耐用年数50年を超えるる管渠が存在しないことから極度に劣化したスパンは見当たらなかった。今後も引き続き定期的な点検等を行い、予防保全を重視した計画的な維持管理を実施していく。
全体総括
現時点では経営状況は徐々に改善されていると考えられる。今後は、人口減少や管渠施工後40年が経過していくことから、整備拡大よりも管渠改善に投資する必要が認められる。