経営の健全性・効率性について
収益的収支比率と経費回収率から使用料金だけでは、賄えない状況にあることが分かる。特に経費回収率から、維持管理に要する経費のうち半分以上を一般会計からの繰入金に頼っている状況にあり、類似団体に比較し多くなっている。経費回収率の低下傾向と汚水処理原価の上昇傾向は汚水処理費の上昇によるものである。汚水処理費のうち地方債償還金の増加は、平成22年から平成24年に実施した肘折下水処理場再構築・耐震化工事時に借入した地方債の償還が始まったことが原因で、維持管理費用の増加は施設の老朽化に伴う修繕費の増加や人件費等の上昇が原因と思われる。地方債償還金は27年度をピークに今後減少する見込みだが、維持管理費は今後も増加する傾向にあると思われる。また、進まない水洗化とそれに伴う使用料金収入の低迷も原因の一つと考えられる。企業債残高対事業規模比率が類似団体平均値に比較し低い理由として、肘折処理区当初整備時の償還が進んでいるのと、清水処理区整備の際に県代行制度の活用など事業費削減の結果であると考えられる。施設利用率は清水処理区の水洗化率の上昇により近年は70%前後で推移しているが、清水処理区の水洗化が鈍化傾向にあるため施設利用率も横ばいで推移すると考えられる。水洗化率は類似団体平均と比較して下回り、平成26年度末では肘折処理区の水洗化率は、ほぼ100%で、清水処理区では76%と開きがある。
老朽化の状況について
供用開始から肘折処理区は31年、清水処理区は11年が経過している。肘折下水処理場は平成22年から24年の3年間に再構築・耐震化工事を実施している。清水浄化センターも経年劣化が原因の修繕件数が増加している。また、管渠については肘折処理区で平成23年度に内部調査を実施している。下水管渠が原因となる道路陥没防止、不断の汚水処理のため、計画的な調査と更新が必要。
全体総括
26年度中に実施したアンケートでは、下水道へ接続しない理由として「後継者がいない」、「改造費用が高い」などの回答が多く、今後の水洗化率の上昇は鈍るものと思われるが、現在の経営状況は使用料金収入が低く、一般会計からの繰入金が多くなっている。維持管理費の削減と水洗化を進め料金収入の確保に努めなければならない。