経営の健全性・効率性について
経常収支比率と経費回収率は、前年度比で減少しているが、依然平均値を上回っている。前年度比の減少は、電気料等の物価水準の上昇のほか、独立採算の推進のため、一般会計からの繰出し割合を削減したことが影響している。流動比率については、法適用から2年目で、内部留保の積み上げが始まったばかりであることから、50%程度となっているが、流動負債の元金償還金については、交付税算定範囲内の一般会計補助金を見込めるため、キャッシュフローには影響を与えない。また今後も利益の一部は建設改良積立が行える見込みであるため、経営効率化と合せ、徐々に増加してくこととなる。汚水処理原価は、前年より大きく上昇し、平均値を上回ったが、これは前述の物価水準の上昇と合わせ、資産取得に伴う減価償却費の増加が要因となっており、結果として経費回収率の減少を伴った。なお、今後、大規模な資産取得を見込んでおらず、経常収支比率と経費回収率は、現状の水準を確保できる見込みであるが、汚水処理原価の削減は事業そのものの効率化が必要な状況となっている。このことから、使用料収入の改定検討及び経費削減による維持管理費の抑制について、引き続き改善に向けて検討を進めていく。水洗化率について、前年度は若干平均値を下回る数値となっていたが、今年度においては前年比10%以上増加したことにより、平均値を上回っている。引き続き普及啓発事業を進め、さらなる水洗化率向上に務めていく。
老朽化の状況について
令和2年度から法適用しているため、類似団体等と単純比較することはできない。汚水に係る事業は平成5年から実施しており、管渠については、対応年数の半分程度が経過した状況にあることから、中継ポンプを中心に改築更新等、老朽化対策を進めている。今後も適正管理を実施の上、計画的な更新を行うよう努める。
全体総括
安定した経営が行われているが、一般会計からの補助金が多額であることから、経営改善を継続していく状況にある。その上では、水洗化率が前年度から10%増加したことは経営改善の一助を担っている。一方、昨今の物価水準等の増加が経営に直接影響を与えていることが読み取れる。昨今の電力会社等における料金の値上げや物価高騰といった社会情勢も考慮しつつ、下水道事業全体が安定した経営を行えるよう経費削減や水洗化率向上に向け、検討を進める。また、雨水施設については、平成25年から整備を進めた新施設であり、当面改修等は必要ないが、施設自体が多額であるため、ストックマネジメントを徹底し、係る費用の最小化に努めていく。