経営の健全性・効率性について
「収益的収支比率」は、前年度比で処理水量が増加したことに伴う収入増と施設設備の経費の関係から一時的に歳出が増となったこと等に伴い比率が低下しました。収益的収支比率は継続して100%を下回っていますが、これは総収益に地方債償還金の財源、一般会計からの基準内繰入金等が含まれていないためであり、これらを考慮すれば適切な運営を行っていると考えています。「企業債残高対事業規模比率」は、類似団体と比較すると平均を下回っており、経年比較では横ばいから減少傾向となっており、今後も計画的な償還により、比率は減少していくと見込んでいます。「汚水処理原価」は、経年比較では流入下水量の実績や施設設備の保守点検周期などにより維持管理費に変動があることから年度間で増減が生じています。「施設利用率」は、平成29年度は処理水量の増加により上昇しています(なお、グラフ中の「79.32%」は「68.95%」が正しい数値です)。類似団体と比較すると平成24年度までは平均を下回っているものの、平成25年度以降は平均を上回っています。流域関連市町の事業進捗などにより水洗化率が上昇傾向となっていることや、将来の流入下水量を予測しながら運転管理上必要最小限の施設能力を確保しつつ、将来において処理能力が不足することのないよう段階的な施設整備を行い施設利用率の向上に努めていきます。「水洗化率」は、類似団体と比較すると平均を下回っていますが、経年比較では流域関連市町の事業進捗などにより上昇傾向となっており、今後も接続率の向上に努めていきます。
老朽化の状況について
流域下水道の管渠は、昭和50年代から建設が進められており、施設延長ベースで平成14年度がピーク(約38km)となっています。建設後の経過年数に着目すると、平成29年度現在で、建設後50年以上経過した管渠はありませんが、2045年頃にはその割合が約38%に上昇することが見込まれます。下水道施設については、従前より定期点検結果に基づく「岩手県流域下水道長寿命化計画(個別施設計画)」を策定し、計画的な維持管理、長寿命化に取り組んできました。今後、ストックマネジメント計画を順次策定し、予防保全型維持管理の取り組みを推進するとともに、随時計画の見直しを行い実態に即した計画としていきます。
全体総括
将来の流入下水量を予測しながら運転管理上必要最小限の施設能力を確保しつつ、将来において処理能力が不足することのない段階的な整備を行うとともに、施設統合など広域化・共同化に取り組み、今後も適切な施設規模となるよう努めていきます。併せて、汚泥処理工程で発生する消化ガスの売却などによる新たな歳入の確保のほか、施設設備の適時適切な修繕、更新等による歳出の削減に努めていきます。また、持続的かつ安定的なサービスを提供するとともに、経営や資産等に関する情報の的確な把握と提供のため、地方公営企業法の適用に向けた準備を進めていきます。