岩手県:電気事業

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経営比較分析表(2019年度)

経営の状況について

令和元年度は、水力発電における出水率が前年度に比較して減少したものの、高森高原風力発電所の稼働率が高水準であったことから電力量収入が前年比0.2%増となったこと、修繕費が前年度に比較して234,015千円の減だったことなどにより、経常収支比率、営業収支比率ともに前年度を上回り、安定した経営を維持しています。また、流動比率は100%を超え高い水準で推移しており、短期的な債務の支払い能力は確保されています。なお、流動比率の増加要因は、消費税などの未払金の減少等によるものです。供給原価は、水力発電における出水率の減少による発電電力量の減が要因となり全国平均を上回っていますが、原価償却前営業利益(EBITDA)は全国平均より高い水準で上昇を続けており、事業の収益性は高く、効率的な経営を行っています。

経営のリスクについて

【水力発電】設備利用率は全国平均よりも高い水準で推移しており、発電施設の効率的な運用が行われています。経営状況では、企業債残高対料金収入比率が順調に減少しており、企業債の償還が順調に進んでいます。一方で、有形固定資産原価償却率は全国平均と同様に増加しており、償却対象資産の減価償却が進んでいることから、胆沢第二発電所及び入畑発電所の再開発事業に取り組んでいるところです。そのほか、FIT適用発電所の適用満了(R16.6)までには期間があることや、FITの収入割合が6%程度と全体に占める割合が低いことなどから、FIT収入が変動するなどによる経営のリスクは現在のところ少ないものと思われます。以上から、水力発電の経営のリスクは少ない状況にあります。【風力発電】設備利用率や修繕費比率などの経営指標は全国平均と比較して良好な状況です。また、企業債残高対料金収入比率は順調に減少しています。なお、全収入がFITで占められていますが、稲庭高原風力発電所について、FIT適用期間が令和3年12月に満了するため、風車を更新する再開発事業に取り組んでいるところです。【太陽光発電】冬季間の積雪が少なかったことから設備利用率が上昇していますが、電気設備の修繕を実施したことにより修繕費比率が上昇している状況です。なお、全収入がFITで占められており、FIT適用期間満了(R16.10)後は収入が大きく変動するリスクを抱えているため、今後、事業のあり方を検討する必要があります。

全体総括

令和元年度の岩手県の電気事業は、新規発電所の建設を進めるとともに、長期経営方針(H22~R元)及び中期経営計画等に基づく取組を進め、安定した経営を維持するなど、現時点での経営リスクは少ないものと考えています。今後は、令和2年3月に策定した長期経営方針(2020~2029)及び第1期中期経営計画に基づき、地域新電力を売電先に加えた新たな電力供給契約に基づく安定供給や、新規発電所の建設及び既設発電所の再開発を進め、本県の再生可能エネルギーの維持拡大に取り組むとともに、小売電気事業者と連携した「いわて復興パワー」や再生可能エネルギーの地産地消の取組を推進し、震災復興及びふるさと振興に寄与する地域貢献にも取り組んでいきます。

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