経営の健全性・効率性について
これまで比較的安定した経営をしてきましたが、近年、経常収支比率が低下傾向にあり、これにより累積欠損金比率が増加に転じています。これは、借入れや補助を受けずに工事を施工したことや料金体系の細分化による料金収入の減少、漏水による有収率の低下が主な原因と考えられます。また、料金回収率は極めて高い数値で推移してきていましたが低下傾向にあり、経済的な理由による滞納の増加が原因と考えられます。給水原価は類似団体よりやや低めですが、近年増加傾向にあります。施設利用率は約55%で類似団体より若干良い数値ですが、施設整備後の人口減少による影響を大きく受けています。有形固定資産減価償却率と管路経年変化率はともに増加傾向にあり、施設・設備の老朽化が進んでいることを示しています。
老朽化の状況について
現在、40年の法定耐用年数を経過した水道管が約13.5kmあり、水道管全体の15.7%を占めています。このまま放置すると10年後には、法定耐用年数を経過する水道管が約47.7kmとなり、水道管全体の半数を超える55.4%に達する見通しです。また、水道の使用状況や漏水等の異常を監視する中央監視装置や流量計などの電気計装類も経年劣化が進行しています。
全体総括
人口減少と高齢化により水道使用量は今後も減少傾向を示すと考えられるため、料金収入の増加は見込めません。これに対し、老朽化した水道管や施設設備の更新、耐震化等の対策には莫大な経費を要します。住民のライフラインとして安定した水の供給を図るため、中長期的な視野に立った計画的・効率的な水道施設の改修・更新や維持管理、資金確保、適正な水道料金のあり方について総合的に検討していきます。アセットマネジメント(資産管理)の手法を活用して、早期に水道ビジョン(総合的な計画)の策定について取り組むこととします。