経営の健全性・効率性について
経常収支比率は100%であるものの、依然として人口減少が進むとともに、町の高齢化率も年々上昇し現在では50%を超え、福祉料金や低所得者層の増加が料金の改定に踏み切れない大きな要因となっている。また、町の基幹産業であった炭鉱閉山後、一時は企業誘致も良好であったが、バブル崩壊後は企業の衰退に拍車がかかり、業務用の料金収入は年々落ち込み、人口減少の観点からも企業誘致活動の強化を図る必要があり、その多くを一般会計からの繰入金に頼らざるを得ない状況にある。流動比率は横這いの状況が続き、企業債残高対給水収益比率も、類似団体平均値より高いことから将来的には給水コストの低減を図り、経営内容・料金体系等について計画的な見直しを検討しなければならないと思われる。料金回収率は、下水道接続により低所得者層はさらに支払いが厳しくなり、収納対策を強化しているが前年より下降した。投資の効率化や経常的・投資的経費の節減を行い高い給水原価を抑える必要があると考える。施設利用率については、グラフでも示しているとおり年々減少傾向にあり、人口の減少と比例していることは否めないと考える。有収率の改善は、今後も継続して老朽化した配水管の布設替の実施と、漏水調査や給水管漏水の対策を講じることにより、数値の向上を図るものとする。
老朽化の状況について
老朽化に対する対策は、現在補助金を投入し、順次更新工事を実施しているが、脆弱な財政基盤につき投資額を増やすことはできない。今後についても、計画的に老朽化した施設や管路更新と投資的経費の節減を図りつつ、効率的・効果的に行うことが必要である。
全体総括
町全体の課題でもある人口減少の問題が今後も予想されるが、民間賃貸住宅や認定こども園の建設により若年層の定住が期待できる状況となった。現時点では経営の健全性・効率性については概ね確保されていると思われるが、類似団体同様、給水人口の減少による料金収入の減少が懸念される中、今まで以上に経費節減に努めるとともに、近い将来は水道料金の見直しも視野に入れなくてはならない。また、料金回収率が下降したため、さらなる収納対策の強化を行い、常に経営分析を行い、適正な水道料金収入の確保と対策を検討しなければならないものと考える。施設の効率性や有収率については、給水人口の減少により、効率的な施設稼動体制の見直しと将来の水需要を予測し、ダウンサイジング等を視野に入れた老朽施設の更新や人件費の抑制等の検討を行い、効率的な経営を行えるよう努める必要がある。