群馬県：小児医療センターの経営状況（2016年度）

地域において担っている役割

県立病院の果たすべき役割は、地域において必要とされる医療のうち、採算性等の面から他の医療機関による提供が困難な医療を継続して提供することである。小児医療センターは、県内唯一の小児専門病院として、高度で先進的な周産期・小児医療を安全に提供するとともに、他の医療機関では治療することができない重篤な疾患の患者を受け入れ、県内全域の三次医療及び北毛地域の二次救急医療に対応し、地域の救急医療を担っている。

経常収支比率

年度	2012	2013	2014	2015	2016
当該団体値（％）	105.7	102.7	100.6	98.2	95.5
類似団体内平均値（％）	97.1	96.3	96.9	98.3	96.7

医業収支比率

年度	2012	2013	2014	2015	2016
当該団体値（％）	79.4	76.4	74.0	73.8	70.6
類似団体内平均値（％）	87.7	86.6	85.4	85.3	84.2

累積欠損金比率

年度	2012	2013	2014	2015	2016
当該団体値（％）	0.0	0.0	0.0	0.0	0.0
類似団体内平均値（％）	92.4	95.4	84.4	85.2	87.1

病床利用率

年度	2012	2013	2014	2015	2016
当該団体値（％）	74.3	73.5	69.2	73.5	71.4
類似団体内平均値（％）	69.0	68.5	68.3	67.9	69.8

入院患者１人１日当たり収益

年度	2012	2013	2014	2015	2016
当該団体値（円）	79433.0	78463.0	87441.0	80675.0	81467.0
類似団体内平均値（円）	31025.0	31577.0	32431.0	32690.0	33491.0

外来患者１人１日当たり収益

年度	2012	2013	2014	2015	2016
当該団体値（円）	14100.0	15437.0	15614.0	16636.0	16854.0
類似団体内平均値（円）	9176.0	9437.0	9726.0	10037.0	9976.0

職員給与費対医業収益比率

年度	2012	2013	2014	2015	2016
当該団体値（％）	69.2	71.1	71.2	72.6	76.8
類似団体内平均値（％）	61.2	61.8	62.9	63.3	64.2

材料費対医業収益比率

年度	2012	2013	2014	2015	2016
当該団体値（％）	23.6	23.9	24.3	23.8	24.0
類似団体内平均値（％）	19.4	19.5	19.2	19.2	18.9

経営の健全性・効率性について

経営の健全性については、経常収支比率、医業収支比率ともに低下傾向にあり、平成27年度には経常収支比率が平均値を下回り、経常収支比率、医業収支比率ともに平均値を下回る結果となった。累積欠損金比率は、累積欠損金が発生していないことから類似病院と比較して健全な状況であると言えるが、経常収支が改善されなければ、今後累積欠損金が生じることとなるため、経常収支比率の改善が今後の課題である。経営の効率性については、病床利用率、入院患者1人1日当たり収益、外来患者1人1日当たり収益といった収益に関する指標が平均値を上回る一方、職員給与費対医業収益比率、材料費対医業収益比率といった費用に関する指標が平均値を下回っている。そのため、経常収支の改善には、費用の縮減が今後の課題となっている。

有形固定資産減価償却率

年度	2012	2013	2014	2015	2016
当該団体値（％）	32.4	33.2	59.9	60.8	58.5
類似団体内平均値（％）	48.3	48.0	52.2	52.4	52.5

器械備品減価償却率

年度	2012	2013	2014	2015	2016
当該団体値（％）	59.4	59.7	74.3	73.6	71.2
類似団体内平均値（％）	64.3	63.3	69.6	69.2	69.7

１床当たり有形固定資産

年度	2012	2013	2014	2015	2016
当該団体値（円）	79175313.0	79895393.0	83102360.0	84138180.0	87575373.0
類似団体内平均値（円）	33533100.0	34139294.0	35115689.0	35730958.0	37752628.0

老朽化の状況について

有形固定資産減価償却率は、平均値を若干上回る数値、機械備品減価償却率はほぼ平均値と同程度で推移している。有形固定資産減価償却率は60%前後、機械備品減価償却率は70%前後で推移しており、保有資産は法定耐用年数の6～7割の年数での使用となっていることから、適正に保有資産の更新ができていると考えられる。有形固定資産減価償却比率、機械備品減価償却比率ともに低いほど経常収支比率や医業収支比率の数値を下げる要因ともなることから、今後も適正な試算の下、計画的に保有資産の更新を行っていく。一床当たり有形固定資産については、平均値を上回っており、類似病院と比較すると投資が過大になっているが、県内唯一の小児専門病院として、高度で先進的な周産期・小児医療を安全に提供するために必要な医療設備の整備をした結果であると考えられる。

全体総括

累積欠損金比率がマイナスで推移していることから財務状態は健全な状況にあると言える。しかしながら、平成27年度以降経常収支比率が100%未満の数値で推移していることから、利益剰余金が減少しており、この状況が続くと累積欠損金の発生が懸念される。経営改善のためには、平均値と比較して高い数値となっている職員給与費対医業収益比率や材料費対医業収益比率、一床当たり有形固定資産といった費用や投資等、支出に関する指標の改善が課題となっている。県内全域から他の医療機関では治療することができない重度な疾患の患者を受け入れる体制を堅持するため、業務の見直しによる職員の業務の効率化や、価格交渉や購入方法の見直しによる材料費の削減を図り、経常収支の黒字化を目指す。