経営の健全性・効率性について
流動比率は100%を下回ってはいるものの、令和元年度に策定した交野市下水道施設ストックマネジメント実施方針に基づき、更新投資が必要な施設を厳選することによる投資額の抑制を図った。類似団体平均と比べて、元年度から2年度にかけて大幅な改善が見られた。経費回収率が令和元年度から減少している。これは、新型コロナウイルス感染症対策に係る一時的な基本料金の減免を執り行ったことによる下水道使用料収入の減少が影響しており、減免分を考慮した場合は回収率は微増となる。水洗化率については水準は高いものの横ばいが続いており、更なる経営改善のために向上の努力が求められる。
老朽化の状況について
独自に処理場を持たないため、固定資産は耐用年数の長い構築物中心であり、平均償却率が低い分、類似団体に対し有形固定資産減価償却率は低い。また下水道事業の開始が早かったため、50年経過した老朽化した下水道管が多くなっており、管渠老朽化率は類似団体と比べても大幅に高い。特に古くに開発された住宅地の管渠の老朽化が著しく、改築更新の多さが管渠改善率に現れている。
全体総括
類似団体と比べても、健全な事業運営を果たしているといえるものの、流動比率は未だ100%に達していない状況である。令和3年3月に策定した交野市下水道事業経営戦略に基づく人口減による将来収支減少の予測を鑑み、汚水処理未普及の解消(「交野市淀川左岸流域関連公共下水道事業計画事業計画(変更)協議申出書」において計画された、令和7年度までに下水道処理人口普及率96%達成の中期目標)と、効率的で持続可能な更新投資(5年ごとのストックマネジメント計画更新による長寿命化・投資平準化)を軸に、今後の経営の健全化を図る。改築費については国費を活用しながら各年ごとに平準化するように努める。