経営の健全性・効率性について
①経常収支比率は平成27年度、100%を越え、収益的収支では黒字化している。しかし、過去からの累積赤字が非常に大きく、②累積欠損金比率では67.44%と、類似団体平均の倍となっている。また、支払能力を示す③流動比率については10%以下と、非常に低い水準である一方で、債務残高を示す④企業債残高事業規模比率は2,000%弱となっており、資金がなく借金が多い、という状況から脱却できていない。⑤経費回収率、⑥汚水処理原価については平成26年度に実施された会計制度改正により、グラフ内でデータの断絶が生じているため、分析が困難であるが、経費の圧縮により回収率が高い水準となっている、という状況にある。⑧水洗化率については100%を目指し、普及啓発に取り組んでおり、着実に上昇しているものの、伸び幅としては鈍化しており、今後水洗化を進めるためには、旧来どおりではなく、新たな手法等を検討する必要がある。
老朽化の状況について
昭和58年に事業認可され、平成2年から供用開始している。市内の下水道整備は平成10年~15年頃が最も多い。また、全量流域下水道へ接続しており、市単独では処理施設などを有していないため、有形固定資産の99%以上は、耐用年数50年の管渠や汚水ますである。下水道整備は近年著しく進んだ事業であり、老朽度合いを示す①有形固定資産減価償却率は全国平均も低水準であり、当市も平均値の範囲である。また、管渠の耐用年数は50年であり、平成27年度現在、城陽市内には耐用年数を超過した管渠はなく、②管渠老朽化率、③管渠改善率は0%となっている。
全体総括
当市は下水道整備を企業債に依存して短期間で行ったため、現在企業債償還額が多大となっており、資金不足が常態化している。市域の下水道整備がほぼ完了しているため、昨今の単年度建設投資額は多くないものの、短期間で整備したということは、更新時期も短期間に集中することが容易に予想されるため、下水道管渠の老朽度合いが低い今の時点から、下水道管路の効率的な維持管理を行い、更新費用の軽減を図るなど、長期的な視野で事業運営を行う必要がある。