経営の健全性・効率性について
平成30年度より地方公営企業会計へ移行し、3回目の決算です。そのため、数値は3年度分のみとなっています。経常収支比率は、類似団体や全国平均より低いが、100%を超えており収支の均衡は保たれています。流動比率は、類似団体や全国平均より下回っています。要因は、流動負債の企業債償還金が流動資産(現金)を上回っているためで、令和4年度の償還金のピークを過ぎるまでは、30%前後で推移する見込みです。企業債残高対事業規模比率は、類似団体や全国平均を上回っており、使用料収入に対する企業債残高の割合が高いことを表しています。令和3年1月に使用料を約21%改定したことにより、次年度以降の当該値抑制が見込まれます。経費回収率は、類似団体や全国平均を下回っており、汚水処理にかかる費用の一部が使用料以外の収入(一般会計からの繰入金)により賄われていることを表しています。令和3年1月の使用料改定により、次年度以降は経費回収率の改善が見込まれます。汚水処理原価は、類似団体と全国平均の間に位置しています。事業計画に基づき未整備区域の解消を進め、有収水量の増加を図ります。施設利用率は、流域下水道による広域処理であり市単独施設を有していないため当該値は「-」です。水洗化率は、類似団体と全国平均の間に位置しています。水洗化率の向上は、安定的な使用料収入の確保につながるため、引き続き未接続世帯への普及啓発活動を実施します。
老朽化の状況について
裾野市下水道事業は、平成2年度から建設事業を開始しており、法定耐用年数に近づいている老朽管渠は現時点ではありません。有形固定資産減価償却率については、公営企業会計移行3年目であり、事業計画の概成に至るまで償却対象資産の取得及び減価償却が続いていくため、今後も数値は上昇していきます。前述のとおり老朽化の対象となる管渠は現時点では存在しないため、管渠老朽化率及び管渠改善率は「0.00%」です。一方でマンホールポンプ場の機械や装置類などについては、継続的な調査等によるストックマネジメント計画を基に平準的な改築事業を進めていきます。
全体総括
公営企業会計に移行し3回目の決算となり経年比較や類似団体との比較など、より客観的な経営状況の把握が可能になりました。主な課題として、経費回収率の低さや一般会計からの繰入割合の高さが挙げられます。これらの厳しい経営環境を改善するため、令和元年度末に策定した経営戦略(投資・財政計画)に基づき、外部委員で構成された審議会において経営戦略の計画値と決算値の比較・検証を行っています。今後もPDCAサイクルを継続し将来に向けた持続可能な経営を図ります。また、令和3年1月に下水道使用料を約21%改定したことにより、次年度以降の使用料収入の増加が見込まれますが、経費回収率の推移など経営状況を分析し、定期的な使用料の見直しを検討します。投資的な側面としては、計画的な管路整備やストックマネジメント計画に基づく管路施設の改築を進め、有収水量の増加を目指します。