経営の健全性・効率性について
①収益的収支比率について大規模事業所の町外への一部移転により下水道使用料収入が前年度比で急減しています。企業債元利償還はH29年度をピークに減少しているものの、収益環境が一気に悪化したことから、可能な限り早い時期での料金改定を行う必要があります。④企業債残高対事業規模比率についてR1年度は前年度比で増加となりましたが、類似団体平均よりも低い値となっています。H25年度に管渠整備計画が完了し、起債対象工事が少ないこと、汚水管渠の残存耐用年数が20年以上あること等から、更新工事を行うまで企業債残高は毎年減少していきます。⑤経費回収率について基準値である100%には及ばない状態ですが、H30年度に料金改定を行ったため、今後も類似団体平均値を上回って推移する見込みです。⑥汚水処理原価について類似団体平均値に近い150円で推移しています。維持管理費の中で高コスト要因となっているポンプ場等のメンテナンス及び人件費等を見直すことにより、費用逓減を図る必要があります。⑦施設利用率について該当数値はありません。⑧水洗化率について平均値に近い値となっており、前年度比では微減となっています。水洗化率の向上は事業経営の改善に直結することから、接続促進について重点的な対策を講じていきます。
老朽化の状況について
松伏町の公共下水道は平成5年に供用が開始され、総延長は汚水86.5㎞、雨水10.5㎞の計97㎞となっています。平成25年度を以って汚水管渠整備計画を完了しています。汚水管渠の大半は塩ビ管を使用していること、管渠の残存耐用年数が20年以上あること等から本格的な布設替工事の着手は令和20年度以降となる見込みです。一方、町内の松伏汚水中継ポンプ場については、目標耐用年数を既に経過してるため、令和2年度に策定予定の「松伏町ストックマネジメント計画」を基に、早期の改築または改良工事を実施する見込みです。また、雨水幹線については、全体的に施設老朽化が進行していることから、目標耐用年数の経過を目途に抜本的な改築計画を策定する必要があります。
全体総括
松伏町の将来人口予測については、行政区域内人口が減少傾向にあるものの、都心から30㎞圏内に属しているため、市街化区域内では今後10年間の人口推移をほぼ横ばいと見込んでいます。しかし、近年の節水意識の向上に伴い、有収水量は次第に減少していくものと思われます。また、各指標を分析した結果、・可能な限り早期の料金改定・水洗化率の向上・年々増加する維持管理費の縮減等について、より重点的に推し進める必要があると考えています。不要コストを積極的に抑制していくと同時に、将来の投資財源の確保を図るべく、令和2年度に下水道事業経営戦略を策定する予定です。