経営の健全性・効率性について
平成30年度の決算は、平成31年4月に地方公営企業法の適用により、3月末日付で打切り決算を行った。出納整理期間の収入支出が含まれないことにより、例年の決算との比較は難しい。収益的収支比率、経費回収率、汚水処理原価等は、良好な数値を示しているが、前述のとおり、例年との比較は難しく、単純に事業運営が好転したとは考えられない。現状として、料金収入は節水等により減少傾向にあり、一般会計からの繰出金に依存する部分がある。また、今後下水道施設の更新投資等による汚水処理費の増額が見込まれ、収入の減少と相まって、財政運営が厳しくなることが予想され、現在の収益の積立等により今後の施設更新事業に備える必要があると考える。投資的事業はほぼ完了し、地方債償還金の逓減や、人件費の縮減等を行ってきており、前述のとおり単純比較はできないが、類似団体平均値に比しても汚水処理原価は低水準であり、費用の効率性については、悪い状況とはいえない。しかし、一般会計の状況や今後の施設更新時期を考慮すると、健全経営を続けていくためには、引き続き自主財源を確保しなくてはならない状況にあるといえる。水洗化率が100%に近いため、新規接続による使用料収入の増加は、あまり期待できない。
老朽化の状況について
排水管敷設は昭和50年より開始しており、40年以上が経過している。概ね4~5年後には、最古の排水管から順次本格的な老朽度の調査を開始することになると思われる。その調査結果によっては、簡易な補修ではなく、耐用年数を前倒しし、本格的な更新工事に着手することも考えられる。また、中継ポンプ場が1基存在し、平成30年度に長寿命化対策が概ね終了したが、今後もポンプ等各設備の更新のため、多額の費用を要することになると思われる。
全体総括
新規築造事業はほぼ終了し、すでに地方債償還金も逓減し始め、人件費等可能な限り歳出削減に取り組み、また、積極的に基金積立てに努めてきた。今後は流域下水道の維持管理はもとより、近い将来、排水管の更新等本格的な維持管理の時代にシフトしていく。このような状況下において、安定した経営を確保するためには、安定した収益に努めなければならない。収益は現在も、一般会計からの繰出金に依存している部分もあり、自主財源の向上が必要である。平成27年10月に使用料改定を行ったところであるが、近い将来、使用料の見直しを検討しなければならないことも考えられる。平成31年4月から地方公営企業法を適用し、損益・資産を把握することにより適切な投資を行い、事業の継続を維持するよう努める。