経営の健全性・効率性について
①平成29年度までと比較して収益的収支比率が下がっているのは、法適用化に伴う打切決算により平成31年4月振込となった同年3月分の下水道使用料収入が含まれていないためである。④企業債残高対事業規模比率については類似団体と比較すると現時点で良好であり、後年度への負担は少ないと考えられる。⑤経費回収率については、類似団体の平均を下回っており、現状では整備した下水道施設が適切な料金収入に結びついているとは言えない状況である。今後は水洗化促進、有収水量増加、使用料改定等収入額増加に向けた施策を実施していく必要がある。⑥汚水処理原価が前年までより下落して見えるのは、①同様、打切決算の影響によるものであり、実質前年までと同額となる。下水道施設整備開始より使用年数うが経過した管渠の点検や改修等を今後実施していくことで有収水量を改善し、経費削減を図るとともに、継続して不明水対策を実施していく必要がある。⑧水洗化率については、平均よりも下回っている状況である。新規整備地域及び整備済み地域の未水洗化地域に対する接続工事をお願いするアナウンスや個別訪問を実施し、経費回収率の上昇に繋げていくことが必要である。
老朽化の状況について
当市は、昭和48年度から下水道施設の建設を始めており、管渠の標準耐用年数を超えている管渠はない状況であることから管渠についての更新投資・老朽化対策はまだ行っていない。そのため管渠老朽化対策は0パーセントとなっている。管渠よりも耐用年数の短い汚水中継ポンプ場については順次長寿命化等に取り組んでおり、改修を行っているため、今後は耐用年数を迎えることになる管渠について、有収率向上や不明水対策の観点からも長寿命化等を行っていくよう計画を策定していく予定。
全体総括
当市は、近隣の類似団体と比べて数値に大きく差がついているということはなく、経営状態が大きく破綻していることはないと分析できる。しかしながら、経費回収率等の改善をすることが、より健全な経営に結びつくことも明らかなことから、令和元年度から導入した公営企業会計の活用により、経理状況を明確化し経費回収率を向上させる施策を検討する必要がある。