経営の健全性・効率性について
平成23年3月発生の東北地方太平洋沖地震に伴う津波により、大槌町の下水道施設は甚大な被害を受けた。しかし、被災した施設の一部は災害復旧事業により復旧、また大半の管渠等は東日本大震災の復興事業により整備が大詰めを迎えている。被災後、下水道接続件数の著しい減少に伴い、下水道使用料収入も大幅に減少し経営状況は悪化していたが、復興事業の進捗に伴い、前年度に比べ下水道接続件数が増加し使用料収入も併せて増収している。しかしながら、現状の下水道使用料金体系のままでは、汚水処理に要する経費や起債償還経費等を下水道使用料で賄うことは不可能である。今後も復興事業の進捗による収支バランスの変化を見据えながら、適正な下水道使用料金体系や効率的な運営手法について検討していく必要があると考える。
老朽化の状況について
被災により大半の管渠が被害を受け、管渠台帳も流失したことにより、具体的な資産の把握が不可能な状況であったが、平成28年度から実施をしている固定資産調査業務により新たな資産台帳を整備し、具体的な資産状況の把握に努めていく考えである。被災した大槌浄化センターや雨水ポンプ場等の設備については、災害復旧事業により復旧、設備更新を行った。また、管渠と同様、資産台帳の整備を実施し、被災しなかった設備については、長寿命化計画により計画的に設備更新を実施していく。
全体総括
面整備の終了に伴い、新築による下水道接続の件数が増加しており、今後収支のバランスが大きく変化していくことが見込まれる。令和2年度からは地方公営企業法を適用し企業会計化されることとなる為、より明確な経営状況を把握することが可能となる見込である。復興事業の終了による経営状況の変化を敏感に把握し、大槌町の下水道事業が安定した経営を展開できるよう模索していく。