地域において担っている役割
地域中核病院の機能として、専門的症例や救急患者等受入れ、地域の医療機関との連携による総合的な医療の提供を行っている。二次医療圏においては、主にがん診療、小児・周産期医療、救急医療を担っており、救急医療においては、365日24時間体制で救急患者の受入を行っている。なかでも小児救急は当院小児科医に加え、市医師会および大学医学部の応援をうけ小児科医が常駐する救急医療を提供している。
経営の健全性・効率性について
病床稼働率の向上および入院診療単価、外来診療単価の向上を目指し目標設定を行い、診療報酬制度への適切な対応に努めている。また、重症度の高い患者と幅広い症例の受け入れ、精緻で適切なDPCコーディングや効率的な入院医療を実践し、DPC制度の機能評価係数を高める対策を講じている。診療報酬の請求もれや減点を防止するとともに、未収金の未然防止対策と早期回収に努めている。経常収支比率と医業収支比率についても数値目標を設定し達成できるよう努めている。
老朽化の状況について
開設後37年余経過し施設設備は老朽化している。加えて建物の一部が新耐震基準不足で早急な病院建替が必要である。一方で旺盛な建築需要の影響で特殊施設である病院建築費は著しく高騰している。今後診療費の伸びが期待できない状況から建築費償還等が課題となる。そのため一層の経営努力が求められる。
全体総括
当院は平成20年度の地方独立行政法人移行後、収益を伸ばしてきた。一方で年々費用の伸び率が収益の伸び率を上回り、平成26年度は収益と費用が均衡、平成27年度は赤字決算となった。平成28年度より、病院運営及び経営の改善を行うべく病院全体で取り組んだ。当院のこれまでの収支構造を分析し、各部門において収益改善策を示し実践する収益改善実施計画を策定し実行に移した。経営改善に取り組む平成29年度の決算は総収益(前年比4.6%増)、総費用(前年比3.1%増)、純利益1.8億円となり2期ぶりに黒字へと転換した。新公立病院改革プランとして、当院では、地方独立行政法人法に基づき地方独立行政法人那覇市立病院中期計画(4年度)を策定している。現在は第3期の期中である。中期計画に基づき、各年度に年度計画を策定。年度毎に実績報告書を設立団体である市に提出し評価を受けている。年度計画では経営指標等に係る目標値を設定している。