経営の健全性・効率性について
本町は、簡易水道施設15箇所、条例水道施設9箇所、共同給水施設44箇所の合計68箇所の水道施設が点在している。令和3年度は営業収益が若干減り、営業費用が大幅に増加したため、経常収支比率は類似団体平均値を下回っている。累積欠損金はないが、企業債元金の償還を、一般会計繰出金に100%頼っているため、流動比率は低くなっている。また、企業債の償還は進んでいるので、企業債残高対給水収益比率は下がってきている。経常費用が増加したため、給水原価が上がり、料金回収率が下がった。。過疎は進んでいくが施設数はほとんど減らないため、施設利用率は類似団体平均値とほぼ同じになっており、管路の管理はほぼ適正に行えているので、有収率が類似団体平均値を下回っていても問題ないと思われる。
老朽化の状況について
施設数が68箇所と多いため、有形固定資産減価償却率は類似団体平均値の1.7倍となっている。また、1給水区域内でも集落や人家が点在しているため、1給水区域内の管路が長く、管路更新率が低くなっているが、管路の更新を不具合箇所から優先的に行っており、住民生活には支障が出ないようにしている。また、重要度に応じた施設の耐震化や基幹管路の耐震化を検討した上での改良が必要である。施設統合については、施設間の距離がかなり離れているため、多額の経費を要することが予想されるので非常に難しい。
全体総括
給水原価を下げ、料金回収率及び有収率を上げる必要があるが、企業債残高を急に少なくすることは困難である。また、高齢化・過疎化による給水人口の減少や、節水意識の浸透による水需要の減少などによる料金収入の減少が予想される。しかし、高齢者が多いことなどを考えると、安易な料金値上げは行えないのも現状である。累積欠損金比率、流動比率、有形固定資産減価償却率、経営戦略を踏まえ、適正な料金設定や健全な事業経営等について検討していく。また、給水区域ごとに異なる高齢化・過疎化に対応するため、ろ過方式を変更し維持管理作業の軽減を図るとともに、浄水施設の閉鎖等に伴う給水方法の変更なども検討が必要である。