経営の健全性・効率性について
①経常収支比率、②累積欠損金比率、⑤料金回収率、⑥給水原価令和4年度と比較して、水道事業収益は概ね横ばいで推移したが、水道事業費用は資産減耗費が減少(△14,231千円)するなどし、令和4年度を下回った。純損失は、令和4年度と比較して13,869千円減少し54,158千円となり、令和5年度末の累積欠損金は210,975千円となった。給水原価は、費用が減少したことに伴い、令和4年度と比較して10.78円減少し、料金回収率も0.89ポイント改善した。当市の簡易水道事業は、地理的な事情等に起因する乏しい収益性に変化がないことから、各指標は不健全な状況を示している。③流動比率令和5年度も100%未満となったが、現金預金116,301千円(流動資産)は、未払金34,594千円(流動負債)を上回っており、かつ、令和6年度に償還する企業債元金110,089千円(流動負債)の約2分の1は当該年度に一般会計から繰入されるため、短期的な債務に対する支払能力は確保されている。④企業債残高対給水収益比率給水収益の減少(△3,488千円)や企業債残高の増加(6,635千円)に伴い、令和4年度より上昇した。⑦施設利用率一日平均配水量の減少(△50m3)に伴い令和4年度より低下したが、今後も水需要の増加は見込めないことから下降傾向で推移すると思われる。なお、地理的な事情により施設の統廃合は困難である。⑧有収率漏水調査は継続実施しているが、量が多い漏水があったため、令和4年度と比較して1.4ポイント悪化した。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率、②管路経年化率令和2年度に公営企業へ移行した際、これまでの減耗分を考慮して償却資産の帳簿原価を算出したため、有形固定資産減価償却率は低水準となっている。しかし、管路経年化率が示すとおり実際の資産は全般的に劣化しており、設備更新も需要に追い付いていないため、類似団体よりも早い速度で資産の老朽化が進行している。③管路更新率送配水管を1,352m更新して当該率は令和4年度より上昇したが、7つの簡易水道を合わせた管路総延長は約111㎞にも及び、財源が限られた中で更新ペースを上げることは困難なため、今後も当該率の急速な改善は望めない状況である。
全体総括
令和4年度と比較して、給水人口の逓減等に伴い年間総有収水量が減少(△19,825m3)し、それに伴い給水収益も減少した。総収益から総費用を差し引いた結果、54,158千円の純損失を計上した。当市の簡易水道事業は、地理的な事情等により給水効率が悪く、給水収益のみでの経営は困難であることから、持続的な事業運営と経営基盤の強化を図るため、令和6年4月に水道事業と経営統合した。