経営の健全性・効率性について
令和元年度の収益的収支比率は、56.86%と前年に比べ、3.31%減少している。これは、企業会計移行に伴う打切り決算により、3月調定分の使用料約1億円が収納されていないためである。また、平成31年4月に料金改定を行ったものの、未だ現行の使用料単価では、維持管理費を賄うだけの料金収入となっており、地方債償還金分の回収は僅かであるため、一般会計からの繰入金に頼らざるを得ない状況である。使用料収入に対する企業債残高の割合についても、打切り決算による使用料収入の減少によって、前年に比べ高い割合となっている。経費回収率は、類似団体の平均値95.40%を大きく下回る42.94%となっている。これは使用料で回収すべき経費を賄えていない状況であることを示しており、回収率100%に近づけるよう適正な使用料収入の確保及び汚水処理費の削減が必要である。現在、接続率や収納率の向上を図ることで、使用料収入の増額を目指している。汚水処理に要した費用は、類似団体平均値よりも低い値となっている。施設の処理能力に対する処理水量の割合、処理区域内人口のうち水洗便所を設置して汚水処理している人口の割合は、類似団体平均値よりも高い数値となっている。これらを更に向上させるため、施設が十分に機能を発揮できるよう努めるとともに水洗化率の向上、経費の削減にも取り組む必要がある。
老朽化の状況について
管渠の標準耐用年数は50年であるが、建設後40年以上経過している管渠もあり、今後においては緊急を要する修繕等が発生する可能性がある。それを回避するため、ストックマネジメント計画に基づく管渠の点検調査や改築工事を実施している。また、供用開始から35年が経過した西条浄化センターにおいても、ストックマネジメント計画に基づき、順次改築工事を実施している。管渠について、今後、標準耐用年数に達し改築更新時期を迎える管渠が増加すると見込まれるため、施設の回復・予防保全のための修繕を実施するとともに、事業費の平準化を図り、計画的かつ効率的な維持修繕・改築更新に取り組む必要がある。
全体総括
令和元年度は企業会計移行に伴う打切り決算により、3月調定分の使用料約1億円が収納されていないため、平成31年4月に料金改定を行ったにもかかわらず、収益的収支比率及び経費回収率は前年に比べ低くなっている。収益的収支比率及び経費回収率は100%を大きく下回っているため、今後も徴収率の向上や水洗化率の向上に努めるとともに、維持管理費などの経費の削減にも努めていく必要がある。老朽化対策については、ストックマネジメント計画に基づく管渠の点検調査や改築工事を実施している。整備や管理に係る費用についても、費用対効果を検証しながら、平準化を図りつつ計画的かつ効率的な維持修繕・改築更新に取り組む必要がある。安定した収入の確保や維持管理費の削減、接続率の向上による有収水量を増加させる取り組みなどを行い経営改善に努めていく。