経営の健全性・効率性について
漁業集落排水事業は、農業集落排水、小規模集合排水事業と同一会計で運営を行っている。経営状況は、他の集落排水事業と同様、料金体系が負担の公平性の観点から公共下水道と同一となっていることから、使用料収入等の自主財源で維持管理経費を賄う事ができず、市債償還額の不足分をあわせた収支不足額を一般会計繰入金により措置することで収支均衡としている。①収益的収支比率は、総収益の一般会計繰入金が増加し、比率の算定外となる資本費平準化債借入額が減少したこと等により、平成28年度から1.30ポイント向上し、59.78%となった。⑤経費回収率、⑥汚水処理原価は、平成28年度に対し、汚水処理経費が微増であるのに対し、年間有収水量及び使用料収入が微減となったことにより、類似団体平均に対しては上位であるものの、数値が悪化する結果となっている。⑦施設利用率についても、汚水処理量の減少により、昨年度から0.18ポイント下落し、類似団体平均を下回っている。⑧水洗化率は89.74%と昨年度から0.55ポイント向上し、類似団体平均に比べ上位となっている。本事業は新設事業を平成23年度に終了しており、処理区域内人口及び水洗化人口は減少傾向にあることから、今後の大きな向上は見込めない状況であるが、引き続き未接続の解消に向け、接続促進に努めていく必要がある。
老朽化の状況について
本事業は、市内に11箇所の処理場があり、施設及び機器類の老朽化の状況に応じ、順次修繕、更新を行っている状況である。これらの施設の中には供用開始後30年を経過した施設もあり、今後の更新期を迎えるにあたって、将来にわたる更新コストの抑制、効率的な施設運営を行うため、施設の機能診断及び最適化計画の策定を行い、計画的な更新、長寿命化を図っていく必要がある。
全体総括
本市の漁業集落排水事業は整備事業を終了し、維持管理主体の事業運営となっている。本事業は他の集落排水事業と同様、比較的小規模な施設が海岸部に点在し、老朽化の進んでいる施設もあるため、経費の節減に努めながら、隣接する下水道施設との統廃合、施設の更新、長寿命化を進め、効率的な管理運営を図っていく必要がある。また、本事業は平成31年度に公共下水道事業等と共に地方公営企業法を適用し、企業会計に移行する予定である。移行後は、財政状況や経営状況の的確な把握に努め、経営改善を図っていく予定である。