経営の健全性・効率性について
当事業は、一般会計からの繰入れや長期前受金戻入など、使用料以外の収入を前提とし、さらに、公共下水道等他の事業と一体で経営しなければ、健全性が保てない状況である。①経常収支比率は100%を下回ったが、②累積欠損金は発生していない。総収益のうち下水道使用料の占める割合は23%であり、一般会計からの繰入金など使用料以外の収入を含めても費用が賄えない状況である。③流動比率は、10%未満の低い値であるが、これは流動負債に建設改良等に充てた企業債を含んでいることも影響している。その財源は次年度の使用料(一体で経営する他事業分も含む)や一般会計からの繰入金による収入を予定している。④企業債残高対事業規模比率は、企業債残高の減少に伴って前年度に比べ低下している。⑤経費回収率・⑥汚水処理原価は、減価償却費や支払利息等の費用のうち、一般会計からの繰入金などで賄った費用を除いて算定したものである。また、使用料で回収すべき経費が賄えていない状況であるが、他事業と一体で経営するとともに、今後は、更なる経費削減を検討する必要がある。⑦施設利用率が低い要因として、施設規模が過大である可能性があるため、施設の更新時にダウンサイジングの検討や、水洗化率の向上も必要である。⑧水洗化率は、類似団体と比較してやや高い水準となっている。今後、大幅な上昇は見込めない状況であるが、近年供用開始した区域も含めた接続勧奨等で未接続世帯の接続促進を図る必要がある。
老朽化の状況について
建設事業は既に完了している。償却資産のうち、管渠は現時点で老朽化の度合は低いが、処理場の機器等については、法定耐用年数を超えるものが相当数あるため、早急に老朽化の状況調査と更新計画の策定が必要である。①有形固定資産減価償却率は年々上昇している。また、今後も上昇するものと見込んでいる。②管渠老朽化率は、法定耐用年数に達したものがないことから0%となっている。
全体総括
当市の下水道は、有収水量が減少する見込みの中、これまで整備してきた多くの施設や設備の老朽化が進行し、多額の更新費用が必要となるなど経営環境は厳しさを増していく状況にある。収益の確保と費用の削減に努め、将来にわたって効率的な経営を行っていくことが喫緊の課題である。効率的な経営のための施策を盛り込んだ今後10年間の経営計画を策定することとし、公共下水道のほか集落排水や公設浄化槽などの事業も含めた下水道一体での経営健全化に取り組む。【経営の健全化・効率化】下水道未接続世帯への接続勧奨の実施や、地域の下水道事業実施時に事情により公共桝や下水管が未設置となった箇所で、下水道への接続を可能とするための工事(公共桝設置等)を実施し、接続の促進を図り、使用料収入の確保に努める。将来の更新費用と維持管理費用の縮減を図るため、集落排水施設を流域下水道へ接続することを主体とした施設統廃合を推進する。【老朽化対策】ポンプ場施設等の設備・機器の更新期が近づいており、今後の更新を効率的に実施するため、機器等の劣化状況等を調査するとともに、施設ごとの更新計画を策定する。計画は、施設の統廃合やダウンサイジング、事業の平準化などを考慮したものとする。